足元に見えたイロ ページ50
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「リョウタ君、誘えば良かったんじゃないですか?」
「……だよねっ?!
だけど、ほらさー、昨日も言ったけど、涼太は野球やめちゃったからさ。
今は逆に関わりたくもないんだって。
可愛さ余って憎さ100倍状態って言うの?」
……残念ながら、言いません。
「そう、ですか……。
なんか、少し気持ちがわかるな」
留意しておかなければ聴き逃してしまうくらいの
小さな声。
なるほどね。
ケイト君の闇は野球に関係しそうってとこかな。
そうは思っても、
下手に動いて聞き出そうとするよりは
流れに任せて、相葉サンのミラクルを待った方が良さそう。
「あ、あった!市営グラウンド行き、5番乗り場に10時15分だって」
翔さんがバスの運行掲示板を見て言う。
「んじゃ、行くか!」
潤くんがそう言って、みんなでぞろぞろと動き出す。
相葉サンが寄り添うようにケイト君の横を行くけど……分かってんのかな、一応、ケイト君は殺意持った人なんだけどね?
翔さんがその相葉サンを守るかのように、
ケイト君の背後を歩く。
「本当に殺意、なのかな」
隣に来た大野サンに、訊くともなく呟く。
「さぁ?……ニノ、足元、見える?」
「エ?」
言われるがまま、視線を下へと移す。
ケイト君の足元に朝顔の蔓のように巻きつく、
灰色の物体。
「大、野サン……」
大野サンが俺の手を握る。
「平気?」
「……アテられたわけでは、ないんで……」
それでも、
この人に手を握られるとざわめいていた心が鎮まる。
「色が薄くなって、広がらないから大丈夫と思ってたけど……
どうやら違うみたいだね」
行き場を探して手を伸ばすように広がっていた灰色は、縋るようにケイト君の足元を固めて、気体から固体へと凝縮して昇華するように形成されていた。
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えりんこ(プロフ) - のっちさん» のっちさん。はじめまして♪コメントありがとうございます。コメント書くの緊張しますよね。ご記入いただき、バンザイ!です。日常ギリギリな能力系………と言う感じで。笑。そしていつもダラダラと長引くんですが、よろしくお願いします。 (2014年11月3日 16時) (レス) id: 2d15dcb922 (このIDを非表示/違反報告)
えりんこ(プロフ) - さくらんさん» さくらんさん。こんにちは♪本日2度目のご来店ツクールで、さくらんさんのコメ発見して、こちらでの相葉サン並みにテンションあがっちゃいました。また、ウダウダと長い話しにしちゃいそうな香りがぷんぷんしていますが、ご愛顧の程、よろしくお願いします!感謝です。 (2014年11月3日 16時) (レス) id: 2d15dcb922 (このIDを非表示/違反報告)
のっち(プロフ) - 初コメです! 凄い楽しい!能力があるおかげで成立する、どこか非現実な感じとか、その中にいてもいたって普通な嵐さんがとっても素敵です!これからも更新頑張って! (2014年11月3日 15時) (レス) id: 507020451d (このIDを非表示/違反報告)
さくらん - こんにちは。最近なかなかこちらに来て読むことができなかったので、ホームシックならぬえりんこさんシックになっていました(笑)本当に読めて嬉しい(^-^)意気投合し仲良くなった大宮な2人とその2人を守るようにして傍にいる3人...とても素敵!今後の展開が楽しみデス! (2014年11月3日 13時) (レス) id: 7891818c75 (このIDを非表示/違反報告)
えりんこ(プロフ) - うるさん» うるさん。ご出陣いただき、ありがとうございます!私、すっかり車生活で、実家の方を一生懸命思い起こして書いていました。通勤通学、めちゃ混みですよね。黒白では収まったのに、結局移行しそうな自分にズドンです。私の澱んだ気持ちが出ませんように。コメ感謝です。 (2014年11月2日 21時) (レス) id: 2d15dcb922 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えりんこ
作成日時:2014年10月24日 23時