GRAY 1 〜Light gray〜

待ち人来たる ページ49

.


「昨日、緊張してあんまり眠れなくてさー。
もう、いいや！って起きちゃったから」


「起きたら起きたで、自宅待機してなさいよー」


「ニノに早く会いたかったんだって！
でも、ニノ、なんだかんだ言って、家入れてくれるしさー。
出発準備したら無言でついて来てくれるしさー。優しいよねっ」


「おかげでもうクタクタですよ。
キャッチボールは皆さんで頑張ってください」


「俺も解説員でいー」


「大野サン、キャッチボールに解説員いりませんから」


「んじゃ、声だしすっか」



「部活か！」



「「「ははははは」」」



「楽しそうなとこ悪いけど、来たみたいよ？ケイト」


潤くんがそう言って、笑みを浮かべながらコンビニを指差す。
……潤くんが言うと「ケイト」が、NY出身の白人女性のように感じられてしまうけど。


そこにいたのは、あの、ケイト君。





「こっちだよ〜！こっち、こっち！」





相葉サンがハトバスのガイドさんのように手をあげて、ぴょんこぴょんこジャンプしている。
気づいたケイト君が、若干、赤面しながらも、そそくさとこちらに来る。


「お待たせ、しま、した……」


5人に四方から囲まれたケイト君が
消え入りそうな語尾になりながらも、
挨拶をしてぺこりと頭を下げる。


……今日も、安定の、灰色ね。


大野サンと視線を交わすと瞼を伏せるように、肯定のサインを送られる。
敏い翔さん、潤くんはもちろん、
天然全開の相葉サンですら、
その意味に気づいて、
聴こえないため息のようなもんが舞う。


「あの……何で今日、俺が呼ばれたか分かんないんですけど……」


ひどく落ち着いた声で
至極、もっともなことを言うケイト君。


「俺たち、野球のサークル作りたくてさ。
……でも5人とも初心者なんだ。
昨日、ケイト、野球やっていたって聞いて、ラッキー♪みたいな……」


潤くんが一生懸命テンションをあげて、中学生ノリを産み出そうとしているけど。
冷静なケイト君には通用しないらしい。



.

足元に見えたイロ→←絶好の野球日和

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す