GRAY 1 〜Light gray〜

タイムリーヒット ページ46

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俺たちが浮かべる戸惑いを感じ取った相葉サンが、少年にはバレないように小さく首を振って囁く。


『知らないよ、テキトー』



ーーーって！



えぇっ？！


少年は俺たち全員を見渡してから、
コクン、と唾を飲み込み、
緊張した面持ちで切り出した。


「俺、ケイスケ、じゃなくて、圭人ですけど……
あなたたち誰ですか？」


……ケイスケじゃなく、ケイト！
まさかのニアミス？
相葉サン、なんつーミラクル持ってんですか？


「ケイト……くんだったっけ？
ごめんごめん。
俺、涼太の兄貴、なんだけど」


……確かにあんたは涼太の兄ちゃんだけど。
ケイト君には何の関係も、ないんじゃ？


「リョウタ……？
長谷川、リョウタ？」


「長谷川……じゃ、ないんだなっ、コレが」


横にいた大野サンが堪えきれず噴き出し、
俺にもたれかかってくる


「じゃあ、人違いじゃないですか？」


なんだかケイトくんの方がだいぶ落ち着きのある年上に見えてきた。
相葉サンは尚も、ニコニコの、それとは気づかれない立派な、営業スマイルを浮かべる。


「かなぁ？？
昔、グラウンドで、見たことあった気がしたんだけど」


……ずいぶん、ザックリいったな。
どこのグラウンドで、いつ見たんだか。



苦笑しながら、
どう落とし前をつけられるか高速回転で頭を巡らす。
隣で難しい顔している翔さんも、
それは同じなようで。


潤くんに至っては、
これから口説いちゃうんじゃないの？ってくらい
カッコ良すぎるスマイルを作りだしちゃってるし。


「……その……リョウタ君、も。
リトルリーグ入っていたんですか？」


ケイト君が不安気ながらも、質問してくる。


まさかのヒットで走塁する相葉サン。
途端に元気を取り戻す。


「え？あ、そうそう！
子どもの頃からエースで4番」


……いつの時代のアニメだよ。


「エース？」


「だったり、そうじゃなかったり」


さすがに、
リトルリーグ、エース、リョウタ、と調べられたらすぐに足がつくと思ったんだろう。
しどろもどろになっていく相葉サン。


大野サンは、
完璧、ツボに入ったようで、
咳き込むように笑いながら肩を震わせている。


「……今も、野球、続けてますか？
リョウタくん」


「今、は、やってないんだなぁ。
才能に限界を、感じちゃったかな」


涼太はどんだけ大人な中学生設定ですか？


「そっか……俺も中学では辞めちゃいました」


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