GRAY 1 〜Light gray〜

持ち合わせていない切り札／N ページ42

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side Ｎ



「今日も、灰色の手応えはナシかなぁ」


相葉サンがうひゃひゃ、と笑いながら
ホーム行きエスカレーターに1番ノリ


そのすぐ後ろに、潤君、俺、と続く


「手応えはナシでも、収穫はあるけどね」


潤君がニヤリと笑って俺を見る。


「何のこと？」


潤君を見るけど、
潤君は「さぁ？」って
外人みたいなリアクションで両腕をあげニヤリと笑う


収穫、ね。


あると言えばあるのかな。





俺がずっと探してた俺みたいな人。
その人と灰色を見たって接点だけで
こうして時間を作れたわけで
些細な話しをしながら
笑い合うまでの関係は築けたとは思う、一応。


これから、どうしていけばいいんだか。


一緒の時を過ごしていれば、
何かが見えてくるかと思っていたけど。


そう甘くはないよなぁ。


月曜日から始めて、
火、水、木、金曜日と今日で5日目。


1週間の期限なんて考えてみりゃ、あっという間。


潤君は土日の稽古時間に都合つけて同行してくれるわけだし。
相葉サンだって、平日の夕方、涼太を1人にさせてまで一緒に来てくれていたんだ。


こんなこと、ずっと続けるわけにはいかない
かと言って


高校の同級生でもない。
地元が同じわけでも、共通の知人がいるわけでもない状況で。
この先、どうやって大野サン、翔さんとの関係を持続させていけばいいもんかな。


懐に入り込ませてはもらったけど。
今以上に関与していい切り札みたいなもんは
あいにく、持ち合わせてない。


「あと3日、だね」


俺の思いを見透かすように、潤君が言った。


「そうだね」と、頷く。


「どうしよっか、これから」


潤君が片眉をあげて窺うように俺を見る。


『どうすんの』じゃなくて、
『どうしよっか』なとこがジェントルな潤君


苦笑いしながら互いに顔を見つめる。


どうしたもん ですかね。


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