GRAY 1 〜Light gray〜

微笑ましい光景 ページ31

.


俺が視線をデジタル時計に向けると、
大野サンと櫻井さんも俺の視線を追って時計を見る


2人のシンクロした動きがおかしい。




「ニノのお友達だよね？
初めまして。
櫻井翔です。
……大野サンは？自分で挨拶する？」


翔さんが含み笑いを見せながら大野サンを見る


「大野智です」


ぶっきらぼう、とまではいかないけれど
言うべきこと言って頭下げたぞ？
って態度の大野サンがおかしくて
笑ってしまう。


潤くんと相葉サンも、
遠慮がちにだけど……完全にウケてる。



「………？」



俺、なんか間違った？みたいに
不安気な視線を翔さんに送る大野サン。


翔さんはその視線に合わせ、
優しさ溢れる笑顔で小さく首を振った。


「あっ、えっと！ニノの友達の相葉ですっ！
よろしくお願いしますっ！」


相葉サンが転入生のお手本みたいに背筋を伸ばして顔に強張った笑顔をのせて
45度のお辞儀をする。


「相葉サン、声、デ○○○ですって」


小声で指摘する。


「エッ？！あ、そっか。ゴメン」


あちゃー、みたいに笑う相葉サン。
周囲からも、クスクス笑い声が聴こえる。


そりゃ、皆さん、聴こえましたよね
この人が、その相葉サンですよーって具合に。


「あははは、よろしくね？
相葉くん」


快活に笑う翔さんの横で、
口というより鼻先まで手のひらで覆って笑いを噛み殺している大野サン。


それから、
どうしても笑いが止まらないらしく
翔さんの肩にもう片方の手をのせて
身を隠すように笑い続ける大野サン。


この人、こんな風にも笑えるんだ。


「よろしくねっ、相葉チャン」


大野サンが笑いをひきずりながらも、
右手を差し出す。


「うんっ！……じゃなくて、ハイッ！」


やっぱり大声で返事して、
差し出された大野サンの手を両手でホールドしてブンブンと上下する相葉サン。


事前準備通り、握手しちゃってるし。


自己紹介で笑いを誘った者同士、
何かしらの共通意識を感じたらしい大野サンと相葉サンが、
なんだか、微笑ましい光景を繰り広げている。


.

こそばゆい交流→←交わされていたトーク

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す