GRAY 1 〜Light gray〜

不思議なふたり ページ3

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火の玉みたいな形したイロは
縦横無尽に飛び交い
俺の目の前で霧散していく


何だコレ？
今、すっごい、不安定なわけね？俺


『友達』が缶ジュースを俺の手に握らせて
少し離れる。


自然な成り行きでミえてしまう
『友達』のイロ


アレ？イロが、ない？


眼を凝らして
もう1度ミる


違う


赤だ


牽制も
主張も
攻撃性もない
静かな『赤』


『赤』にしては珍しいくらい
おとなしいイロ


でも。
たぶん、めちゃくちゃ強い。



このヒト
自分のイロで周りのイロを消している。


飛び交っていた誰かのイロたちは
この人に消されたんだ。


_____朱に交われば赤く染まる


そんな諺がピッタリの『強く』
でも、
それを『見せずに』コントロールされている『赤』


じゃ、こっちの『彼』は……？


「まだ、喋れなそう？」


もう一度『友達』に訊かれ
ハッとする


「……すみません」


「顔色悪いね……？
しばらく休んだ方がいいかな」


「翔くん。
俺、彼と、話ししたいんだけど」


口を尖らせて
考え込むような仕草をしていた『彼』が
自分でもなんだかよくわかっていない調子で
たどたどしく言ってくる。


「何を？」


『友達』が訊く


「……なんだろ？」


『友達』の指摘に
余計、混乱して分からなくなっているみたいな『彼』


『友達』がそれを笑う


そんなやりとりを
じっと見ていた。


ふと、
『友達』と目が合う。


『友達』は、
安心感をこちら側に与えるには充分過ぎるくらいの、柔和な笑みを浮かべた。


「ごめんね？
俺たち、別に怪しいもんじゃないんだ。
ただ、ちょっと、気になることがあって」


「気になること、ですか？」


「うん。智くん、何とか説明できる？」


『友達』が眼を細めて口に弧を描きながら
『彼』の肩にポン、と手をのせる。


『彼』はやっぱり口を尖らせたまま
長く細い指を曲げて 高い鼻先に持っていく。


「んー……灰色、かなぁ」


「ーーーっ！！！」


思わず身体を弾け起こし
『彼』を見つめる。


『友達』も驚いた顔で彼を見るのが分かる。


「『灰色』……。
『黒』、では、無かったのね？」


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