GRAY 1 〜Light gray〜

灰色の意味するもの ページ14

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「うん。なんとなく、分かるよ？
属する色調は一緒ってことだよね。
でも、精神状態……マイナス感情とかそういうのはどうして分かるの？」


「……うまく言えませんけど、ミているうちに俺ん中で、パターンが分かってきたとしか言い様はないです。
例えばですけど、コレ、大野サンは何色だと思います？」


白いテーブルに映る、麦茶の陰を指差す。
光を受けたガラスのコップが通す中の色。


「……茶色？」


「ですよね？
でも、実際は違います。
光の照射とテーブルの白を受けて、本当の茶色より変化している。
人の目には茶色と認識される。まぁ、本来の色を脳は知っているわけですから。
俺には両方ミえるんです。
コップという人格に入っている麦茶の色も、
その茶色に今、影響を与えている感情ってモノも」


「なるほど。
分かり易いね」


合点して興味深そうに頷く櫻井さんを尻目に、
首を傾げて
コップから落とされた麦茶の陰の
本当の色を知ろうと凝視している大野サン。


櫻井さんも大野サンのその姿を捉えたようで、
片眉をあげてチラリと視線を送った後、
笑いをかみころすようにクッションに頬を埋めた。


俺もその笑いを共有するつもりで、
櫻井さんと視線を交え口元を緩める。


それから、
櫻井さんのもう一つの問いに答えるべく先を続けた。


「……灰色に近い色、は分かりませんが。
黒と赤、それに白をマーブリングさせたようなイロは、1度ミたことがあります」


潤くんに向かってきた瀬尾さんの彼氏を思い出す。
あの人があの時 纏っていたカオスな色は
忘れようと思って忘れられるもんじゃない。


「たぶん『赤』を持っていた人に黒と白が差した。魔のイロです」


櫻井さんは俺の発言を受けて、視線を落とした。


「……ニノが具合悪くしたところから考えても、あまり、いい色ではないようだね？
今回の、灰色も」


「それにアレは、属し場所が分からないくらい
派生していったって感じでした」


入道雲のように膨らみ
範囲を拡げていった灰色。

ミたいと思う類いのもんでなかったのは確かで、
不吉な感じは否めない。


「……たぶん、だけど」


大野サンがポツリと言って。


俺と櫻井さんは同時に顔を起こして大野サンを見た


「俺に分かるのが死で、
ニノに見えるのが感情だとしたら」


「「………？」」


「俺とニノが一緒にいることで見えんのは
『殺意』なんじゃないの？」


ーーーーっ？！


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