見えない人 ページ11
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櫻井さんの家はそこからすぐ傍
歩いて程なく榴岡公園に出て、
道路挟んですぐ、本当に隣な位置の
3階建アパートの2階端がそうだった。
2LDKの間取り。
2つの部屋を挟むように存在するリビングダイニングに案内され、
部屋の中央にある二人掛けの紫色のソファに座るよう勧められる。
俺が座ったソファに向かい合う位置で、
ラグに手をついて座る大野サン。
櫻井さんは冷蔵庫から麦茶を取り出すと、
コップに注ぎ入れ、テーブルの上に3つ並べる。
「どうぞ。……あったかいもんの方がよかった？」
「あ、いいえ。……いただきます」
頭を下げて、手持ち無沙汰を補うように、
麦茶に手を付けた。
用意された麦茶に、慎ましくも堅実な2人暮らしを感じさせられる。
櫻井さんは、大野サンから少しだけ離れた場所で、クッションを抱えるようにして座る。
それから、徐に口を開いた。
「考えてみると、随分、強引に連れてきちゃったよね？」
小さく「ゴメン」と頭を下げる櫻井さん。
「いいえ」と頭を下げ返すと、優し気に微笑まれる。
「俺も、ちょっと必死だったかも」
上唇を挟んで、鼻を伸ばし目元で笑う櫻井さん。
その様子がなんだか愛らしくて、
少しだけ口元を緩める。
「あの……さっきの話しなんですが。
大野サンは、ミえるんですか？その……人が纏うオーラのイロが」
内心の動揺を悟られないよう、
出来るだけゆっくり、話しを切り出す。
「逆」
短か過ぎる言葉を、唐突に返されて訊き返す。
「エ？」
「見えないんだよ、俺は」
大野サンの言葉が意味することを図りかねて
櫻井さんを見る。
櫻井さんはその大きな瞳を伏せて、
そっと息を吐いた。
「見え……ない」
それってフツウなんじゃ？
一連のやりとりで多少なりとも舞い上がっていた俺は、急に突き放されたような感覚に陥る。
違う。
失望って言ったら、失礼だけど。
俺の中で一気に波が引いて行ったんだ。
無言で俺たちを見ていた櫻井さんが
控えめにクスリ、と笑った。
「言葉が足りな過ぎじゃない？智くん」
「エ？」
仕方ないなぁ、って感じを漂わせながら、
櫻井さんが請け負った。
「この人はね、見えない人がいるんだ」
俺をチラリ、と一瞥した後、
麦茶がテーブルに落とす茶色い影に視線を移して、櫻井さんが静かに続けた。
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えりんこ(プロフ) - のっちさん» のっちさん。はじめまして♪コメントありがとうございます。コメント書くの緊張しますよね。ご記入いただき、バンザイ！です。日常ギリギリな能力系………と言う感じで。笑。そしていつもダラダラと長引くんですが、よろしくお願いします。 (2014年11月3日 16時) (
レス) id: 2d15dcb922 (このIDを非表示/違反報告)
えりんこ(プロフ) - さくらんさん» さくらんさん。こんにちは♪本日2度目のご来店ツクールで、さくらんさんのコメ発見して、こちらでの相葉サン並みにテンションあがっちゃいました。また、ウダウダと長い話しにしちゃいそうな香りがぷんぷんしていますが、ご愛顧の程、よろしくお願いします！感謝です。 (2014年11月3日 16時) (レス) id: 2d15dcb922 (このIDを非表示/違反報告)
のっち(プロフ) - 初コメです！ 凄い楽しい！能力があるおかげで成立する、どこか非現実な感じとか、その中にいてもいたって普通な嵐さんがとっても素敵です！これからも更新頑張って！ (2014年11月3日 15時) (レス) id: 507020451d (このIDを非表示/違反報告)
さくらん - こんにちは｡最近なかなかこちらに来て読むことができなかったので､ﾎｰﾑｼｯｸならぬえりんこさんｼｯｸになっていました(笑)本当に読めて嬉しい(^-^)意気投合し仲良くなった大宮な2人とその2人を守るようにして傍にいる3人...とても素敵!今後の展開が楽しみﾃﾞｽ! (2014年11月3日 13時) (レス) id: 7891818c75 (このIDを非表示/違反報告)
えりんこ(プロフ) - うるさん» うるさん。ご出陣いただき、ありがとうございます！私、すっかり車生活で、実家の方を一生懸命思い起こして書いていました。通勤通学、めちゃ混みですよね。黒白では収まったのに、結局移行しそうな自分にズドンです。私の澱んだ気持ちが出ませんように。コメ感謝です。 (2014年11月2日 21時) (レス) id: 2d15dcb922 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんこ
作成日時：2014年10月24日 23時
