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それでも。
胸に酸素を取り込むように、両腕を広げて木々を見上げる祐樹が、とても幸せそうで、つまらないことを口にするのはやめた。
「久しぶりなの？」
午前中から午後2時までは、入院患者でも自由に来られるはずだけど。
祐樹はあまり外に来なかったのかもしれないと思い、訊いてみる。
「いや、昨日も、来たよ？
ベンチで本読みに」
「へぇ？」
「でも。なんだろ………
なんか、全然違う感じする。
すごい………キレイ、だね」
「そう？それは、よかった」
祐樹と同じように見渡してみるけど、登下校で見る街路樹や校庭と一緒。
それほど、感動はない。
祐樹の目にはどう映っているのか、知ることはできないけれど。
今、もし、看護師に見つかって小言を言われるハメになったとしても、出て来てよかったな、と思えた。
「まだ、あんま、紅葉してねぇな」
智くんが、イチョウの木の幹をガシガシと手のひらで叩く。
カサカサっと2、3枚、葉が落ちてくる。
「あははは。
窓から見た時、まだ紅葉してないこと気づいてたでしょ」
「んー………お」
智くんが屈んで、綺麗な黄色になったイチョウの葉を一枚、拾いあげて見せてくる。
「へぇ、キレイだね。
もらってい？本の栞にする」
智くんの細く長い指が、祐樹の左手の上に葉をのせる。
祐樹がそれを右手で摘みあげて、空に翳すように見た。
それから、足元に散っている葉っぱに目をやった。
「緑でも、散るんだね」
祐樹の足が、足元に散らばる緑の葉っぱを避けるように動く。
「そうだね」
いくつか散っている葉を見ながら、そう相槌を打った。
「ねぇ、見て」
んふふ、と笑いながら、智くんが来る。
智くんの手には、赤茶けた桜の葉。
穴があいてる。
「顔みたいじゃない？」
ハロウィンの飾りで使われるオバケみたい顔。。吊り上がった目ににやけた笑顔みたいな、ヤケにファニーな顔に愛着がもてる。
「あははは、本当だ。
でも、それ虫喰いあとじゃない？」
俺の指摘で、即座に葉っぱを捨てる智くん。
祐樹が大笑いしている。
智くんは、ついているはずもない虫を見るように、手を祓って顰め面している。
「あははは。大野サン、虫、苦手なの？」
「昔は平気だったんだけどな。
今はムリ」
本当にイヤそうに首を振る智くんがおかしくて、祐樹と笑った。
「秋、だね」
祐樹がポツリと言う。
「秋だよ」
智くんがそう言って笑った。
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えりんこ(プロフ) - あひるさん» あひるちゃん、こちらにもいらしてくれたのね(TT)ありがとうね。時間のあまり取れない中、お付き合いいただけたのがありがたく嬉しくです。こちらの翔さんは優しさ6割 賢さ3割 残念さなキュートさ1割で生成されていますので。笑。何がので、やねん。本当、感謝感謝感謝 (2017年5月15日 15時) (
レス) id: 0428e73e41 (このIDを非表示/違反報告)
あひる(プロフ) - 結末を知っているからこそなのか、3人が幸せそうに声をあげて笑っているシーンでボロボロ泣いている自分。どうするの明日の顔。翔さんは優しいな。大野さんが告げた真実で、大野さんの孤独を想うんだから。 (2017年5月15日 0時) (レス) id: bcdb6e0c35 (このIDを非表示/違反報告)
えりんこ(プロフ) - いなばさん» 作品を作れるように努力したいです！←心意気だけは立派？笑。ありがとうございました！ (2015年9月11日 23時) (レス) id: 5c7989ada0 (このIDを非表示/違反報告)
えりんこ(プロフ) - いなばさん» で黒、白作っちゃったから、ちょっとガタガタな感は否めませんが。それにしても、こうして懇意にしていただいて、すごくすごく書き手していて良かったと思えます！いなばさんとの出会いにも本当感謝！贅沢にツクを楽しめています。いなばさんをきゃーきゃー言わせる (2015年9月11日 23時) (レス) id: 5c7989ada0 (このIDを非表示/違反報告)
えりんこ(プロフ) - いなばさん» いなばさん〜！！こちらにも、ありがとうございます！今思うと、策に溺れた感があって（笑）黒、白→灰色って読み進めないと灰色の出だしから話しに入っていくのに本当に一苦労するんですよね〜。←他人事みたい。3つが独立しても楽しめたらいいな、と思って灰色ありき (2015年9月11日 23時) (レス) id: 5c7989ada0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんこ
作成日時：2014年9月28日 20時
