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Lover-2 ページ38
時計の長針が12を通り過ぎて完全に日付が変わった頃。
『遅くまで昨日ありがとう』
絵文字もない、少し素っ気ない文面のまま送る。いつまでも変わらない君との関係への、せめてもの反抗。きっと伝わりなんてしないけど。
幾ら待てども返信は来ない。
君の香りが部屋の中を漂って、君が居た事実を忘れさせてはくれない。
俺は、君を想ったまま眠るけれど、きっと君はもう忘れて、僕じゃない誰かと……。
なんて、そんな虚しさを抱えたまま目を閉じ眠りにつく。
きっと君は今日も何気もない顔で来るんだろう。
その為だけに、髪を切ったり、いつもとは違う服を買って着てみたり、なんて女々しいことをする。
優しさからか、必ず気づいて反応してくれる。それがまた嬉しくてやってしまうんだ。
普段だったら絶対にしない事。こんなことするのは君だから、君にしかしない。
どこまでも君に溺れてる。
付き合えないのに、恋人になれないのに、相手がどう想ってるかも分からないのに。なんて愚かで惨め。
でも、期待しちゃうんだ、君と居ると。まるで、付き合ってるかのように思えて。
大きくて、くりくりとした黒い瞳も。白くて、少し角張った、男らしい手も。何度も染め直して、少し傷んだふわふわな髪も。目を細めて、くしゃりと笑うその顔も。全部、全部。自分だけだって。そう思っちゃう。
分かってる本当は。自分だけなんか無いんだって。彼にとっての特別になんてなり得ないんだって。だからいつも、するりと躱されて、勘違いしてるって嫌でも分かってしまう。
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作者名：いろと | 作成日時：2020年1月13日 21時
