拾ってください【短編集】【BL】 (ページ14)

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つづいてページ14

｢頬緩みきってんぞ～｣

そんな気持ちを誤魔化すため、ふざける。

｢だってぇ～！ホントに可愛いんだもん～！｣

なんて駄々を捏ねる子供のよう。

その"可愛い"って気持ちがほんの少しでも

こっちに向いてくれれば、なんて幸せだろう。

そんなこと願っても、叶わないことくらい知っている。

だけど、少しの間、今だけで良いから願わせて。

そんなことを、整った彼の顔も見ながらおもう。

すると、先ほどまで閉じていた瞳が開き、こちらを向く。

そんな行動でさえ、ドキッとしてしまう。

必死に誤魔化そうと"何？"なんて言い掛けると、

彼の顔が目の前にあって。

なにされたか。なんてことを理解するには数秒で十分だった。

そう、キスされたのだ。

そんな時でも頭は働くようで、

お前、好きな人いるんだろ？

なんで俺なんかにキスしてんだよ。

俺のこと好きなのかな、って勘違いするじゃん。

なんて、心の中で悪態を突く。

唇が離れると

｢んふふ、かぁいかったぁー｣

なんて言うから何も言わずバシッと叩く。

イタッなんて言っていたのは気にしない。

キスされた唇を拭うとふわりとお酒の香りがした。