そして、 ページ24
そんな昔のことを思い出しても意味がない
もう兄さまはいないし、アキもここにいない
僕は、兄さまだったものを抱え、倉庫を出た。
久しぶりの外は、あの頃と何も変わらなかった。
相変わらずのどんよりとした曇り空。
手入れされることのない畑。
まだあの女が仕事をしていたとき、歌仙とここに種を植えた。
早く芽が出るようにと水をあげた。
でも、今じゃ畑は雑草畑と化している。
縁側から廊下に上がる。
ここで楽しげにお茶を飲んでいた三日月さんや、小狐丸さんの姿はもうない。
それどころか引き摺られたような血のあとがある。
………この血の持ち主はまだ生きているだろうか？
廊下を右に曲がる。
どの部屋の襖も閉め切られ、物音一つしない。
いくつかの襖の一つを開ける。
歌仙「……お小夜！」
そこにはボロボロの歌仙がいた。
風流を愛し、白く綺麗だった彼の内番服はボロボロで、所々が赤く染まっている。
歌仙「今までどこ……それは！！」
歌仙が僕に駆け寄り、そう声を掛けるのを遮り、兄さまだったものを差し出す。
それを見た歌仙は、声をあげた。
歌仙「……長谷部くんから話は聞いていたけど、、」
声を詰まらす彼を見て、僕はその手を取り兄さまを渡した。
小夜「……歌仙、兄さまをよろしくお願いします」
そう言って振り向き、部屋を出る僕。
歌仙「お小夜！！」
そう叫んで、追いかけて来ようとしても、途中で倒れてしまう歌仙。
小夜「……僕には、やらなきゃいけないことがあるんです」
足早に廊下を去り、階段を登る。
階段の先から新しい霊力を感じる。
………そして、あの女の霊力も。
小夜「……？」
上から叫び声と、大きな物音がする。
少し足を早め、階段を登る。
加州「やめろっ！アキ！！！」
小夜「！？」
聞き覚えのあるその名にビクリと体が揺れる。
その瞬間、さっき思い出したアキとの全てが押し寄せてきた。
目覚めたときから感じてきた懐かしさや、安心感。
何故だか思い出したアキとの思い出。
僕は一気に階段を駆け上がり、審神者部屋に飛び込む。
加州さんが駆け寄る。
一期さんが手を伸ばす。
あの女は床に座り込み、怯えている。
………そして、皆の視線の先には、
僕のあげた紐を手首に巻いた一人の姿
小夜「アキ！！！！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 357人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ねこあり(プロフ) - 名無しさん» ふおぉぉぉぉお！！！ありがとうございます！！！！更新遅くなってしまってすいません！！！頑張ります！！！ (2019年6月1日 16時) (
レス) id: 23e5ecff0c (このIDを非表示/違反報告)
名無し - ふおぉぉぉぉおおおおお、めっちゃおもろいぃぃぃぃぃいいい((殴 更新頑張ってくだせぇ← (2019年5月7日 3時) (レス) id: 277d330b38 (このIDを非表示/違反報告)
ねこあり(プロフ) - ユユユさん» コメントありがとうございます！今日からしっかり更新していきたいと思うのでお願いします！！！ (2018年12月6日 19時) (レス) id: 23e5ecff0c (このIDを非表示/違反報告)
ユユユ - すごく面白いです！更新頑張って下さい。応援してます！ (2018年12月5日 2時) (レス) id: f0e41eea19 (このIDを非表示/違反報告)
ねこあり(プロフ) - フユキさん» 流石です笑 (2018年11月20日 1時) (レス) id: 23e5ecff0c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ねこあり | 作成日時：2018年11月3日 1時
