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冬 7 ページ9






山を降りてバイクに乗った。



「寒かったなー大丈夫?」



そう聞いても、彼女の返事がない。




「Aー?聞いてる?」



俺はお腹あたりを触って彼女の腕が回ってあることを確認した。

ちゃんと握ってるから大丈夫…なはずだけど、
彼女は返事をくれない。



信号待ち、ふと後ろを見てみると
明らか様子がおかしい。


ハッハッハッと浅く呼吸を繰り返し
その呼吸の間で、
聞こえるか聞こえないかくらいの声で俺を呼んでる。



俺はゾッと背筋が凍った。



このままじゃAが危ない。


俺は焦って震える手で病院に電話をかけ状況を伝えた。



急いでバイクを走らせ、病院に着くと

お医者さんが俺らを待っていて
すぐに彼女をバイクから降ろしストレッチャーで運んでいった。



病院の中で待ってると、彼女の両親とお兄ちゃんが走ってやってきた。


俺の顔を見るなり
少し驚いた顔をした。


お兄ちゃんは俺の肩を掴み、
どうしてくれんだよ!と叫んだ。


「本当にすみませんでした…っ!!」


俺が深々と頭を下げると
お母さんが顔を上げて?と言った。



「Aからよく聞いてたのよ〜。

佐藤…勝利くんよね?」



俺が頷くと、中島さんのお母さんは微笑んで話し始めた。



「あの子、高校入学の時からずっと佐藤勝利くんがねーって話しててね。

だから…あの子はあなたと一緒にいられて良かったと思うのよ。

これが最期になったとしても…っ


ありがとうね…連れ出してくれて。



だからもう、こんなことは、やめて欲しい

あなたと同じように、いやそれ以上、
私達もAが大切なのよ。」



俺は泣きそうになるのをこらえた。


中島さんのお兄ちゃんは壁をドンッと叩いて、クソッ!と言った。






少しして俺の家族もやってきた。

お父さんとお母さんは必死に謝った。



お姉ちゃんは俺の肩をさすり、
お兄ちゃんはただ、俺の顔を見て頷いた。






処置室の明かりが消え、
お医者さんが中から出てくる。



「少し肺が疲れてしまったようです。今すぐ命に関わることはないですよ。」




中島さんのお母さんはしゃがみこんで泣いた。
それを支えるように寄り添う中島さんのお父さんとお兄さん。



俺らはもう一度深く頭を下げて

病院をあとにした。

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設定タグ:SexyZone , 佐藤勝利   
作品ジャンル:恋愛
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碧海☆は窒素(プロフ) - 涙が止まりませんでした。 (2018年2月25日 22時) (レス) id: e67963a1a4 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 良いお話でした!本当に大好きです! (2018年2月25日 0時) (レス) id: 3e3d41c4d7 (このIDを非表示/違反報告)
菜奈 - 言い回しが好きです。これからも頑張ってくださいね〜。 (2018年2月24日 0時) (レス) id: a9f4a86f68 (このIDを非表示/違反報告)
イチ(プロフ) - 続きとても気になります。更新頑張ってください! (2018年2月22日 23時) (レス) id: be08ec388e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:櫻子 | 作成日時:2018年2月22日 22時

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