ありきたりのラブ・ストーリー 2《Sato Shori》 (ページ13)

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さよなら 2 ページ13

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初めて勝利と話した日

私はとても緊張してたんだ。

顔を洗うあなたの隣で

なんて言おうかななんて頭で練習して。

遠くから見てた。
ずっと憧れていた。

あなたは私を見てくれますか？

初めて好きと言ってくれた日

私は自分で思ってたより

臆病で素直じゃないみたい。

あのとき、ほんとはあなたの胸に飛び込んで大好きだと言いたかった。

私の病気を知ったとき

ドッキリ大成功なんて言ってはしゃぎ飛ばしたりしたかった。

隠し事をしていてごめんなさい。

そうでもしないと、
あなたがいなくなると思ったの。

だけど、あなたは私が思うより

ずっとずっと大人なんだもん。

だから私追いつきたくて
たくさんたくさん進まなきゃって。

最後まであなたは

先に行ってしまうんだね。

私はあなたの世界に生きていたかな

少なくともあなたは

私の世界の主人公だったよ。

気がつけば季節は過ぎていくのに

私なんだかカウンドダウンしてるみたいで

ずっとさみしかったんだ。

もっと手を握ってよ

もっとキスして

もっと私を抱きしめて

二人で見た景色も

二人で感じた香りも

もっともっと愛してようよ。

離さないでいようよ。

いつか見たラブストーリーみたいに
うまくいかなくたっていいから

私たちなりの
幸せを形取ろうよ。

それが、私たちの

ありきたり…つまり。

普通で、最高の、お話になるでしょ？

それでいいじゃん。

なんにもいらないよ

そう願う私は今日も
あなたの夢を見た。

「待ってるね」

と、優しく笑うあなた。

私は、今すぐ行くと返事して

夢の中で眠りについた。

私たち、また会えるよね。

待っててね。

春が来て、
満開に咲く、桜の中で

私はさよならを、告げた。