【A3!】幽霊擬きの居候【茅ヶ崎至】2 (ページ16)

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「泣いてもいいネ。いつでもヒレ貸すヨ」

「それを言うなら胸ッスけどね……」

シトロンさんが胸を張って言うのに皆木くんが控えめにツッコミを入れる。
いつも通りのその様子に安心したのか、涙がこぼれる。
……誰かの目の前で泣いたのはいつぶりだろうか。
心配をかけないように。
迷惑をかけないように。
そうやって、1人で悩むようになったのはいつからだろう。

「オレたち、至さんを引き留める方法考えたんです！」

ポロポロと涙を流す私に佐久間くんは声をかける。
皆で考えたその方法というのは、皆の芝居で至さんを本気にさせるというものらしい。
そのためにある程度設定を考えたエチュードを至さんに見せる。

「…これで上手くいくか分かりませんけど、オレたちの気持ちはちゃんと伝わると思うんです！」

「Aも一緒にお芝居するネ！」

「芝居でなら、言いたいことだって言えるかもしれないっすよ」

芝居でなら言いたいことだって言えるかもしれない。
私はみんなと違って芝居なんてやった事がないし自信も無い。
それでも、こうして至さんを引き留める為の作成に私を誘ってくれた事がとても嬉しい。

「…実はその、…皆にも、言いたいことがあるんです。」

それなら私もちゃんと向き合わないといけない。

「至さんやいづみさんにも。その、まだ話せないんですけど、みんなの公演が終わる頃には」

言葉を選んで、みんなに伝える。
話すのなら、ちゃんと皆に話したい。

「オレ、待ってます！」

「そうだな。…小林さんが話せる時まで待ちますよ」

佐久間くんのその言葉に皆木くんが同意するように続ける。
シトロンさんもうんうんと頷いてくれている。
碓氷くんは何も言わないけれど、否定しないで聞いてくれている。
それが嬉しくてまた涙がこぼれる。

「Aは蒸し焼きネ～」

「蒸し焼き！？」

「怖すぎるだろ……」

「それを言うなら泣き虫」

「ふふ…」

いつも通りのみんなに思わず笑ってしまう。
それを聞いて皆が私の方に視線を向ける。

「やっと笑ってくれました！」

「Aは笑顔の方が似合うネ！」