【A3!】幽霊擬きの居候【茅ヶ崎至】2 (ページ2)

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茅ヶ崎至side

Aちゃんは、多分、何かを隠している。
隠しているのか、話せないのか、頼れないのか、それは分からないけど。
正直気の所為だと言われたらそんな気もするくらいの曖昧なもの。
確信なんて何も無かったけれど、あの反応を見る限り、何か言えない事があるのは確かなのかもしれない。

疑問を覚えたのは最近。
Aちゃんの事が好きなのだと自覚してから姿を見ると、目で追うことが多くなった。
そして気づいたのは、Aちゃんは外出を避けているという事。
買い物は支配人に任せているようだし、いつも寮の中で働いている。
それでもそれは言われてみれば、くらいのものだ。
今まで気にとめてなかったような事。
いうて俺も外出はそんな好きじゃないし。

そして今日の雄三さんとの会話や仲の良さ。
監督さんでさえ、ハナ垂らしてたなんて言われるくらい幼かったであろう時の話だ。
それなのに雄三さんがAちゃんに言ったのは、変わらないな、なんて言葉だ。
仲の良さから察するに長い付き合いのはずだ。
Aちゃんはいつからこの寮に居るんだ？
そんな違和感程度のもの。

もう一つ気になるのは、Aちゃんは昔、幼い頃の監督さんと会った事がある可能性が高いという事だ。
雄三さんの口ぶりからしてAちゃんは昔からここに居るようだし、監督さんも幼い頃ここに来てる。
会ったことがあってもおかしくない。
それなのに、その話題は少しも出さない。
話したくないのか、そもそも会ってなかったのか。
本当に疑問程度のものばかりだ。

「劇場の舞台の上でみんなで寝るんです！」

咲也がそう言った瞬間、Aちゃんの表情が強ばった。
皆は盛り上がったり興味なさげだったりで気づいてないみたいだったけど、顔色も悪くなっていって明らかに様子がおかしかった。
咲也達が話す言葉もあまり耳に入っていないように感じて、Aちゃんの顔を覗き込んで声をかけた。
なんでもない、とばかりに誘いを断り皆を送り出そうとするAちゃんへの違和感に確信を覚えた。

気の所為なんかじゃないのかもしれない。
俺じゃなくてもいい。
だから、そんな辛そうな顔はして欲しくない。

そう思って綴達を先に行かせてまで話をしようとしたはずなのに、結局怖がらせただけ。

ああ、今日はとことんついてない。
雄三さんの言葉も、Aちゃんのことも。