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翌日。
少し憂鬱な気分で教室に入ると
何やら元気そうな淳太に「昨日はどうやった?」と聞かれてしまった。
『昨日って…何のこと?』
「神ちゃんと二人で資料運びに行ったやろ!」
人の恋愛話を聞くのが大好きな淳太はいつもこうして何かと聞き込み調査をしてくる。
神山くんと淳太は仲が良いということもあって余計に興味津々みたいや。
「ちょっとひどいこと言ってもうた」と言えば
「はぁ?何それ?」と少し怒った様子の淳太と目が合った。
「もしかして…A見てへんの?」
『へっ…?何が?』
意味不明なことを言い出す淳太に首を傾げれば
あからさまに大きくため息をついて「まだ見てへんかったんかぁ」と呟いた。
「ええから今から下駄箱行ってこい!」
そう言った淳太に強引に背中を押されて。
こんなに必死な淳太を見るのは初めてで私は慌てて下駄箱へと向かった。
.
もう登校時間ぎりぎりだったせいかもう下駄箱にはほとんど人がいなくなっていて。
とりあえず私はしばらく下駄箱に立っていることにした。
『あぁ…そういえば靴履き替えるの忘れてた』
神山くんにひどいことを言ってしまって上の空になっていたせいやろうか。
ついつい上履きに履き替えるのを忘れてしまっていた。
慌てて自分の下駄箱を開けて強引にばっと上履きを出せば
一枚の封筒のようなものがひらひらと床に落ちた。
慌ててその封筒を拾って確認すると間違いなく"加藤さんへ"と書かれていて。
そこには"神山より"と丁寧に差出人の名前も書かれてあった。
"神山"というワードにびっくりして私は慌てて封筒をこじ開けた。
"突然のお手紙ごめんなさい。
伝えるつもりはなかったけど、頑張って伝えようと思い手紙を書きました。
クラスのみんなからも先生からも好かれている加藤さん。
真面目な俺とは正反対で、気づいたらもっと加藤さんのこと知りたいと思うようになりました。
もし良かったら付き合ってくれませんか。"
何度も何度も書き直したのか消した後がたくさんあった。
きっと神山くんは私のために何度も書き直してくれたんだろう。
いつも下駄箱の中はあまり見ないから気づかなかった。
私は本当に神山くんに最低なことをしてしまった。
でも…今ならまだ間に合うかもしれない。
そんな小さな希望にかけて私は慌てて神山くんの元へと走り出した。
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りってぃ(プロフ) - まるまるさん» 初めまして。コメントありがとうございます('ω')一気に読んでくださったんですね、もうすごく嬉しいです。夏にしたい青春にきゅんきゅんしていただいて何よりです。今絶賛公開中なので、ぜひ新作も見に来てくださいね。 (2018年9月28日 15時) (レス) id: b7b6eb2e08 (このIDを非表示/違反報告)
まるまる - 完結おめでとうございます!読んでいて楽しくて一気に最後まで読んでしまいました..!夏ならではの青春が詰まっていて我ながらキュンキュンしました..、新作も読ませていただきますね! (2018年9月28日 0時) (レス) id: b9fcf0c55a (このIDを非表示/違反報告)
りってぃ(プロフ) - もちこさん» 初めまして。コメントありがとうございます('ω')更新を待ってくださったのも嬉しいですが、何より素敵なご感想を書いていただけたことが一番嬉しいです。どきどきしていただいてとても励みになります。新作もそろそろ公開予定なので、貴重にお待ちくださいね。 (2018年9月22日 15時) (レス) id: b7b6eb2e08 (このIDを非表示/違反報告)
りってぃ(プロフ) - やさきみさん» こんにちは。コメントありがとうございます('ω')色んな意味できゅんきゅんだなんて…物凄く嬉しいです。こちらこそありがとうですよ。実は私も重岡さんのお話が一番お気に入りなんです。新作もそろそろ公開するので、貴重にお待ちくださいね。 (2018年9月22日 15時) (レス) id: b7b6eb2e08 (このIDを非表示/違反報告)
もちこ - りってぃさん、完結おめでとうございます…!ひっそりと更新を楽しみにしておりました、どのお話もどきどきしてすごいなぁと感心させられました…!新作も楽しみにしています! (2018年9月22日 9時) (レス) id: 4aed13764d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りってぃ | 作成日時:2018年8月21日 17時