生 意 気 ≪ Daiki.S ≫

生意気27. ページ27

あれから行くところもなく

廊下をぶらぶらとする私。







急に立ち上がって歩いたせいか

余計に頭がふらふらしてきた気がする。




でも今から教室に戻るわけにはいかへんし。

また重岡くんに絡まれると思ったらうんざりや。








そんなことを思いながら歩いていると

前を見ていなかったせいか誰かとごんっとぶつかってしまった。






『あっ…ごめんなさい…』



そう言って顔を上げると

そこには心配そうにこちらを見つめる智くんで。




ぶつかって申し訳ない…という気持ちと

ぶつかったのが智くんで良かった…という気持ちが混ざる。







『智くんっ……』


「なんかぼーっとしてたみたいやけど大丈夫？」



そう言いながら心配そうに私を見つめる智くん。

ぼーっとしてた…って私はどれぐらいぼーっとしてたんやろ。





正直に「頭が痛くてぼーっとする」って言えばいいんかな。

いや…でもそんなことで智くんに迷惑かけられへん。








『大丈夫やで！考え事してただけやから！』



笑顔でそう言えば優しく微笑んでくれた智くん。

そんな智くんは教室へ戻っていった。









一人取り残された私は

智くんが向かった教室の方向とは反対方向に足を進める。




廊下には楽しくお喋りしている生徒たちがたくさんいて。

いつもと同じように騒がしい廊下。








その途端…さっきより頭がくらくらしてきて。

少しだけ視界がぼやけたような気がした。






『ちょっとだけ休も…』



そう呟いた私は中庭のベンチの方へと足を進める。

けど…足が思うように動かへんくて。








それと同時に視界もどんどんぼやけてきて。

限界やったせいかその場にどさっと倒れ込んでしまった。







私の周りにいる生徒たちがざわざわと騒ぎ始めて。

注目を浴びている…と分かってても立ち上がれない。




"大丈夫？"とか"先生呼んだ方がええ？"なんて声が聞こえて。

そんな生徒の声もどんどん遠ざかっていく。









すると遠くから…ばたばたと走る音が聞こえて。

そんな足音は私の目の前で止まった。






「…お前ら退け」



私の周りに集まっていた生徒に声をかける誰か。

それと同時にふわっと体が浮いて。






なぜかきゃーきゃー騒いでいる女子。

私には何が起こっているのか誰がいるのか分からなかった。







…誰かが私を抱き上げてるんかな。









そう思ったと同時に私の意識はゆっくりと途切れた。

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