狼くん38. ページ38
熱のせいかどこかぼーっとしている表情の藤井くん。
私の掴んでいる腕は今までにないぐらい弱弱しかった。
そんな藤井くんに少し嬉しくなりながらも
もう一度、藤井くんの隣の椅子に腰掛けた。
この気持ちは…藤井くんに引き留めてもらえたからなのか。
それとも…藤井くんともっと一緒にいられるからなのか。
今の私には分かるはずがなかった。
「相原さんっ……」
またどこか苦しそうに私の名前を呼んだ藤井くん。
『ん…？』
「俺の話っ…聞いてくれへん？」
そう言った藤井くんは両手で顔を覆っていて。
どんな表情をしているかさっぱり分からなかった。
藤井くんの話って何やろ。
気になった私は…「うん」と言った。
「相原さんってさっ…クラスの中心みたいな感じやん？」
『…そうなんかな？』
突然の藤井くんの言葉に驚きながらも返事をする。
「友達と楽しそうに話してるときとかっ…
小瀧にうざ絡みされてるときとかっ……
なんか気づいたらめっちゃ気になってて…」
そう言った藤井くんに返す言葉をなくした。
そんな風に言われるといくら冗談でも勘違いしてしまう。
「俺っ…卑怯やからさ。
"ノート書いて"とか言いがかりつけてっ…相原さんに近づこうとしてん。」
私はそう言った藤井くんに相槌を打つように頷いた。
「やのにっ…勝手に小瀧に敵視したりしてさ。
余計に相原さんに…嫌われて。」
『私は藤井くんのこと嫌ったことなんかないから！』
なぜか勝手に口が動いていた。
私が藤井くんのことを嫌ってる…と勘違いしてほしくなかったから。
「俺っ…みんなから怖がられてるし。
もう一匹狼で生きていくしかないんかな…って思ったけど。
相原さん見たら…素直になってまうねんっ…。」
その言葉に私は何も言えなかった。
ほんまに私は最低な人間かもしれへん。
自分から話を聞いておいて何も言わへんとか最低すぎる。
同情することもなければ、励ますこともない。
何か間違ったことを言って、藤井くんを傷つけたくなかったから。
そして藤井くんに嫌われたくなかったから。
「俺っ…ほんまは一匹狼やめたい。
俺も…相原さんみたいにみんなと仲良くしたいっ…。」
そう言った藤井くんは言い疲れたのか…すとんっと眠ってしまった。
私はそんな藤井くんの頭を撫でることしかできなかった。
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りってぃ(プロフ) - 有香さん» ありがとうございます。頑張ります。 (2018年5月24日 16時) (
レス) id: b7b6eb2e08 (このIDを非表示/違反報告)
有香(プロフ) - はい！ (2018年5月22日 16時) (レス) id: 44f2d4f6ef (このIDを非表示/違反報告)
りってぃ(プロフ) - 有香さん» ありがとうございます。読者様のペースについていけるように頑張ります。なるべく早く書きたいなぁ…と思いながら頑張りますね。 (2018年5月22日 16時) (レス) id: b7b6eb2e08 (このIDを非表示/違反報告)
有香(プロフ) - 良かったです！りってぃさんのペースで(●'д')bﾌｧｲﾄです！ (2018年5月21日 18時) (レス) id: 44f2d4f6ef (このIDを非表示/違反報告)
りってぃ(プロフ) - 有香さん» あわわ…そう言ってくださって本当に嬉しいです。私自身も続編作りたいなぁ…と思っていたのですが、もう一つの作品の続編を作ることになって。そちらの作品も大好きですが狼くんの方も書きたかったのでそう言ってくださる人がいて嬉しいです。頑張りますね。 (2018年5月21日 17時) (レス) id: b7b6eb2e08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りってぃ
| 作成日時：2018年2月17日 11時
