極 悪 ヤ ン キ ー ３ ≪ Daiki.S ≫

極悪136. ページ39

「行くぞ」



そう言って歩き進めた重岡の後を慌てて追って。

重岡の姿がまだ見慣れなくて私の心拍数は高鳴る一方だった。






いきなり誘ってくるし勝手に歩き始めるし。

急いで来たのに"遅い"って言ってくるし…なんかかっこよくなってるし。









きっと重岡がヤンキー服を着ないのは人がたくさんいるからだろう。









私はそそくさと歩く重岡の後をついていくのに精一杯だった。









.



あれから私たちはとある服屋さんに入って。

私の目の前で一枚一枚服を確認している重岡に私の頭の中ははてなでいっぱいだった。









『な、なぁ…いきなり呼び出してこれはどういうこと？』



そう聞いても重岡は黙って服を見ているだけで。

そのまま重岡が手に取った服はとても見覚えがあって私は思わず"それって…！"と食いついてしまった。









『重岡組の服…？』


「あいつに買う」



『あいつって…もしかして濱田さんのこと？』


「いつも重岡組に入りたそうな顔するから」



そんな重岡の言葉に私は思わず笑みが零れて。

相変わらずの怖い顔で"サイズなんか分かるわけないやろ…"と呟く重岡にまたさらに笑ってしまう自分がいた。






あんなに…濱田さんのことを嫌っていたのに。

重岡はそういうやつだ、元桐山組のことなんか気にせず自分の仲間にする。



冷たい態度を取るくせに優しいところもあるからみんな重岡から離れられないのだ。

私はやっぱり重岡のそういうところ、好きだ。









そのまま会計を終えるまで店の外で待っていると大きい袋を持った重岡が出てきて。

ちらっとこちらを見た重岡は小さな袋をこちらに投げつけてきた。









「お前のこと振り回したお詫び」



重岡の言葉に慌てて中身を確認すればとても厳ついネックレスが入っていて。

太くてゴツゴツしたネックレスはとても女性用とは思えなかった。




な、なんかドクロとかついてるし…まぁこの店だから仕方ないか。

まさか重岡からプレゼントをもらえると思ってなくて私は静かに嬉しさを噛み締めた。









「そういえばお前…この間言ってた好きって一体どういう意味……」


「あれ？しげさんと吉村ちゃん？」









何かを言いかけた重岡の言葉を遮って話しかけてきたのは…小瀧で。









"ほら！やっぱり！！"と言って私たちの前にやってきた小瀧に重岡はどこか不満そうな顔をしていた。

極悪137.→←極悪135.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す