極 悪 ヤ ン キ ー ３ ≪ Daiki.S ≫

極悪134. ページ37

『それに…いきなり小瀧の名前出してくるとか意味分からんねんけど』


「お前言ってたやん、小瀧のことかっこいいって」



『あのときの会話聞いてたん？』


「たまたま聞こえてきただけや」



目の前の重岡に質問攻めをするとやっと重岡が突然そんなことを言い出した理由が分かって。

そんな重岡は相変わらずの冷たい目でじっと私のことを見つめていた。









≪ 正直…一瞬でもかっこいいって思った？ ≫


≪ う、うん…初めて小瀧の姿見たときは正直かっこいいなぁって思ったけど ≫



あのとき病院の休憩所で梨々花としていた会話。

あの一瞬だけの会話を重岡に聞かれてしまっていたのだ。








そういえば…あの会話をしてから重岡が冷たくなった気がする。

重岡に突き飛ばされたのもちょうどその後だったしそう考えれば全ての辻褄が合う。



もしかして…あのとき私を突き飛ばした理由って私と小瀧をくっつけるため？

私の後ろに小瀧がいることを分かってて突き飛ばした、ということはわざと私と小瀧を？




やっと心の中にあったもやもやが晴れていくと同時にどうしようもなく悲しい気持ちになった。









なんでいつも冷たいくせにこういうときだけ背中押そうとしてくるん。

きっと重岡は私と小瀧がくっついても何も思わない、いや寧ろくっついてほしいとすら思っている。



その事実がどうしようもなく辛かった。









『…ここには来おへんなんて嫌やから』


「お前のせいで俺が怪我したって責任感じてるんやろうけど気にする必要ない、気遣うな」



『そういうことじゃなくて！！』


「は？意味分からん」



勝手に小瀧のこと好きって勘違いして、背中押してきて。

馬鹿だ、こいつは大馬鹿だ。









≪ しげさんってああ見えてめっちゃ鈍感やから告白ぐらいのことせえへんと一生気持ち伝わらへんと思うわ ≫



そのときふと私はこの間の小瀧の言葉を思い出した。

ちらっと重岡の方を見ればどこか不思議そうな顔でこちらを見つめていた。









『この際やからはっきり言わせてもらうけど！！！』


『私が毎日ここに来てるのは仕方ないからじゃなくて私が重岡に会いたいから来てるし、重岡は誰からも愛されてないって思ってるかもしれへんけど私は重岡のこと好きやし！！』



そう言えば驚いたようにこちらを見つめる重岡がいて。









『……私が好きなのは重岡だけやから！！』









そう吐き捨てた私は早足で病室を出た。

極悪135.→←極悪133.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す