極 悪 ヤ ン キ ー ３ ≪ Daiki.S ≫

極悪111. ページ14

いきなりぎゅっと抱きつく梨々花に濱田さんは戸惑いつつもどこか嬉しそうで。

"どうしたんやぁ"と言って梨々花の背中をさする濱田さんはとても柔らかい笑顔を浮かべていた。








「全然お見舞い来られへんくて…ごめん」


「何言ってんねん、この間俺の大好きなプリン持ってきてくれたやん！」



「たかぴょんに利用されてるだけなんかなって思ってもうて…顔合わせづらかってん」


「え？そんなこと思ってたん？」



梨々花の言葉に濱田さんはどこか驚いた様子で。

そんな濱田さんは何かを決意したかのようにじっと梨々花の顔を見つめていた。









「俺、桐山組とはもう関わらへんことにしたから」


「え？じゃあもうヤンキーやめるってこと？」



「それはまだ分からへんけど…とりあえず桐山組は卒業する！」


「でも…桐山組って1回入ったらやめることできひんって……」



突然そんなことを言い出す濱田さんに私と梨々花は開いた口が塞がらなくて。

"一度入ったらやめられない"そんな梨々花の言葉にゾッとする自分がいた。









「やめることはできる、ただやめるなんて言ったら桐山さんの気が済むまで殴られてその後も執念深く追い回されると思う」


「でも俺決めたから、そこら辺は自分で何とかする」



それはこの入院期間に濱田さんが決意した強い意志だろう。

右足と左腕を骨折している濱田さんは他にもたくさん怪我を負っていてとても複雑な気持ちになった。









≪ 俺らが殺すのはお前じゃなくて重岡やからな ≫



あのときの悪魔のような顔をした濱田さんはもうどこにもいなかった。

きっと桐山組にいたときの濱田さんは桐山さんという悪魔に呪われていたのだろう。




でもやめるって言ったら殴られるって…桐山さんはどこまでもひどいやつなんやな。

目の前で優しく微笑む濱田さんは桐山組と縁を切ることができるのだろうか。









そんなことを思っているとちらっとこちらを見た濱田さんと目が合って。

そんな濱田さんは驚いたようにこちらを見つめていた。









「なっ！え！！Aさん…！！」


『やっと気づきました？』



「その…せ、先日はすみませんでしたっ…！」


『梨々花の彼氏なので仕方なく許しますけど…梨々花の彼氏でほんまに良かったですよね』









"ほんまにごめんなさい…"と言って動きづらい身体で必死にペコペコする濱田さんがおかしくて。









そんな濱田さんに思わず吹き出してしまう自分がいた。

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