極 悪 ヤ ン キ ー ３ ≪ Daiki.S ≫

極悪108. ページ11

「ごめんっ…Aほんまにごめんっ……」


『もうええよ、謝らんでいい』



「でも…私あんなひどいこと言ったのに……」


『過去のこといつまでも気にしたくないし梨々花が謝ってるのに許せへんっていうのは親友失格やろ？』



そう言って優しく梨々花の背中をさすれば目の前の梨々花はプツンと何かが切れたように泣きわめいて。

あんなに明るい梨々花がこんな風になるなんて…相当悩んでいたんだろうなと思った。






そんな梨々花を傍で見守っていられるのはやっぱり私だけなのかもしれない。

どんな風に縁が切れたとしても私たちはやっぱり繋がっているんだなとそのとき思った。








『今すぐには親友に戻られへんかもしれへんけど…これからはゆっくり私たちのペースで仲良くしていこう』









そう言えば私の胸で"ありがとう…"という梨々花の小さな声が聞こえてきた。









.


あれからしばらくして私たちは裏庭のベンチに腰掛けて。

今まで話してなかった分、何気ない会話でも永遠と話が弾んだ。









「てゆうかチャイム鳴ってるけど…これってサボりやんな？」


『人生初サボり！！よっしゃあ！！』



突然そんなことを言い出す梨々花に慌てて時計を確認すればすでに1限目が始まっている時間で。

私の言葉を聞いて楽しそうに笑う梨々花にほんの少しだけホッとする自分がいた。



昔までの私だったらきっとサボりなんて絶対にしなかっただろう。

色んなヤンキーと出会って私の考え方も大きく変わった気がする。









『そういえば梨々花に見せたいものがあってん！！』


「え、なになに？」



わくわくしながら私の方を見る梨々花に私はポケットからブレスレットを取り出して。

"じゃーん！"と言って手首にブレスレットをつければ梨々花は"おぉおおお！"と目を輝かせていた。









「それこの間壊れたって言ってたやんな？」


『そう、実はこのブレスレット重岡に直してもらってん！』



私の言葉に"えぇ！！"と声を漏らす梨々花はとても驚いている様子で。









「重岡さんめちゃめちゃ怖そうな見た目してるのにブレスレットまで直してくれるんや…」


「Aのことになると何かと優しいよな、重岡さんって」



え、重岡が私に優しい…？









いやいや…そんなはずは。









そう言った梨々花は"見て！お揃い！"と言いながらポケットから私とお揃いのブレスレットを取り出して手首につけていた。

極悪109.→←極悪107.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す