極悪06. ページ6
私を助けてくれた小瀧さんはそのまま私の腕を引っ張ってあの男の元へ連れていって。
彼の近くに行けばあまりにもタバコの匂いがきつくて思わず咳き込みそうになった。
「俺の大事な彼女なんですよ、やから勘弁してください…!」
「お前もとうとう女作り始めたんか」
「女の子の力ってすごいっすよ!しげさんも彼女作ったらいいじゃないですか!」
「喧嘩に女は必要ない、邪魔なだけや」
必死に説明をする小瀧さんに冷たい返事をするその男。
そんな彼のことなんてお構いなしに小瀧さんは"じゃあ行こっか"と言って私の腕を引っ張ってくれた。
.
あれから倉庫を抜け出した私はさっきまで耐えていたタバコの煙に限界がきて。
"げほっ…げほ……"と咳き込む私に小瀧さんは"大丈夫?"と言ってくれた。
「吉村ちゃんとしげさんの間に何があったのかは分からへんけど」
「しげさんのことあんまり怒らせたらあかんで」
そう言った小瀧さんに一気に背筋が凍っていくのが分かって。
"しげさん"という言葉にさっきのあの男が真っ先に頭の中に浮かんできた。
『あの人って…すごい人なんですか?』
「すごいも何もこの町のナンバーワンやからな」
『な、ナンバー…え?』
「重岡組って聞いたことない?あの人は重岡組の番長の重岡大毅やで」
まさかの言葉に私は驚きが隠せなくなって。
とんでもない人に目をつけられてしまった…と思うと冷や汗が止まらなくなってしまった。
一番会ってはいけない人だったのか。
ということは…もしかしてここが重岡組の倉庫!!!
「喧嘩もめっちゃ強いしかっこいいし……」
『てことは…あなたもその人の仲間ってことですよね』
そう言って目の前の小瀧さんを睨めば小瀧さんは"そうやけど…"と言っていて。
気づいたときには"あなたのせいじゃないですか!"と言ってしまっていた。
『あなたがこんなところまで連れてこおへんかったらあんなひどい目に合わへんかったのに!!!』
『色々助けてもらったのは感謝してますけど!!本当にありがとうございました!!』
言いたいことを全部口に出してその場を去れば、後ろから"ふはっ…"という小瀧さんの笑い声が聞こえてきて。
「……ますます好きになってもうた」
そんな小瀧さんの声も聞こえないぐらい私はその場から逃げるのに必死だった。
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りってぃ(プロフ) - とわさん» 主人公がついに照史くんと対面しましたよ!(';')ヤンキーを目の前にするのは私も経験がないので分かりませんが多分めっちゃ怖いと思います(T_T)それにあの桐山さんですからねぇ....(笑)いつも素敵なコメントありがとうございます!(^^) (2021年4月22日 17時) (レス) id: ccea52b7dc (このIDを非表示/違反報告)
とわ(プロフ) - 主人公ちゃん、照史くんとぶつかっちゃった! ヤンキーと、ぶつかった経験がないので、わからないですけど多分めっちゃ怖いですよね?嗅覚が鋭すぎな照史くん。さすが、組長! (2021年4月19日 22時) (レス) id: fc8965d624 (このIDを非表示/違反報告)
りってぃ(プロフ) - とわさん» いつも考察していただきありがとうございます(^^)週末なので張り切って2話アップさせてもらいました!重岡くんが逃げなかったのはちょっとだけ主人公に同情していたからかも…?(';')今のところこの4人以外のメンバーを出す予定はないです(..)! (2021年4月19日 20時) (レス) id: ccea52b7dc (このIDを非表示/違反報告)
とわ(プロフ) - シゲちゃん、のんちゃん、照史くん、濱ちゃん以外のメンバーは登場するのですか? (2021年4月18日 23時) (レス) id: fc8965d624 (このIDを非表示/違反報告)
とわ(プロフ) - 今日も欠かさず、考察をあげさせてもらっているとわです!2話連続でアップ、めっちゃ嬉しかったです!読んでみると、桐山組が来てたーー!重岡組、頑張れ!そして、重岡くんがすぐ逃げなかったのは理由があったのでしょうか?楽しみです! (2021年4月18日 23時) (レス) id: fc8965d624 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りってぃ | 作成日時:2021年3月13日 20時