レ ン タ ル 彼 氏 ≪ Daiki.S ≫

レンタル23. ページ23

翌日。



誰よりも早く出社して自分のデスクへ向かう。

そんな私の気持ちはすっかり晴れていた。









≪ 絶対何もかも上手くいきます！俺が保証します！ ≫



重岡さんから特別なアドバイスをもらったわけではない。

ただそう言われて優しく手を握られただけだ。




でもただそれだけでこんなにも安心してしまうのはきっと彼の才能だろう。

だからきっと重岡さんにはたくさんの指名が入るんだ。







重岡さんにそう言われただけで本当に何でもできそうな気がする。

昨日までウジウジしてイライラしていた自分が馬鹿らしくなった。









『よし、やるか！』



髪を一つにまとめてパソコンの電源を入れる。

するとオフィスに淳太くんが入るのが見えて私は思わず驚いてしまった。




私と目が合うなりどこか気まずそうに自分のデスクへ向かう淳太くん。

そんな淳太くんにたまらなくなって私は気づけば"あのさ…！"と言っていた。









「……なに？」


『昨日はごめん！ほんまにごめん！！』



そう言って勢いよく頭を下げればどこか驚いたような顔をした淳太くんと目が合って。

そんな淳太くんは"こっちこそきつい言い方してもうてごめん"と言っていた。









『悪いのは全部私やから、仕事でやることが多すぎてイライラしてもうて』


『関係ない淳太くんにきつく当たってもうた』



そう言った私に淳太くんは"そうなんや"と言って。

私は大きく息を吸って淳太くんに一歩近づいた。









『それで…今週中にやらなあかん仕事があって……』


『終わりそうにないから淳太くんに助けてほしいなって思って……』



そう、何事も一人で抱え込んじゃだめなのだ。

時には誰かに相談したり助けを求めることも必要だ。



きっとそれを教えてくれたのは目の前の淳太くんと…重岡さんだ。









「もちろん！俺でよければ！」


「何から手伝ったらいい？」



どこか嬉しそうに微笑んだ淳太くんに気づけば私も笑顔になっていて。

"できるだけ全部できるように頑張るわ"と言った淳太くんはとても逞しく見えた。




…最初からこうしておけば良かったんだ。









「A、なんか変わったな」



そう言ってこちらを見つめる淳太くんに私は慌てて"え？おかしい？"と言って。









「ううん、すごい魅力的になった」









そう言って微笑む淳太くんに何もかも上手くいくようなそんな気がした。

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