[続] シ ェ ア ハ ウ ス ≪ Nozomu.K ≫

ハウス09. ページ9

その日の夜。



私の頭の中はデートのことでいっぱいで。

洋服やメイクや髪形をどうしようかしばらく悩み続けていた。









『ピンクばっかりも引かれるかなぁ…かといってシンプルすぎるのも……』


『あぁ！もう！！どうしたらええんや！！』



あんなタイミングでデートに誘われると思ってなかったし。

てゆうか…私にとっては初めてのデートなわけで。



少しでも可愛い恰好をして望さんの隣を歩きたい。

でも"張り切ってる"って思われるのも嫌。







『…とことん面倒くさい女や、私は』









早く明日になってほしいようななってほしくないような不思議な気持ちになった。









.



もちろん夜は眠れるはずもなく。

ベッドから起き上がってリビングへ向かえば照史くんが鼻歌を歌いながらお水を飲んでいた。









『照史くん、今帰ってきたん？』


「そうやねん、高校のときの友達と大盛り上がりしてさ」



『ちょっと顔赤いで』


「え〜？やっぱり酔っ払ってるんかな〜？」



照史くんは今日は朝からずっと出かけていて。

どうやら高校時代の友人と飲みに行っていたらしい。



にこにこしながらお水を飲む照史くんは酔っ払っているんだな…とそう思った。









「そういえばAって最近望とどうなん？」


『へっ…？』



「ほら！この間好きって打ち明けてくれたやん！！」


『あ、あぁ…仲直りもしたし順調かな』



突然望さんの話題になって思わず肩を震わせてしまって。

目の前の照史くんは私の言葉に"そっかそっか〜"と嬉しそうに笑っていた。



良かった…付き合ってることはばれてないみたい。









「Aってさ理想のデートとかあるん？」


『えっ…！デート！！』



「そんな驚くことちゃうやろ〜、こういうプランが理想とかあるやん？なんかないん？」


『あ、あぁ…！そういうことか！』



私の言葉に"どういうことやと思ってたん？"と楽しそうに笑う照史くん。

そんな照史くんに苦笑いを浮かべながらも私は内心ビクビクしていた。



……なんか今日の照史くんやたらとピンポイントで攻めてくるなぁ。

酔っぱらってるからかな。









『昔からずっと憧れてるのがビルの屋上に行って夜景を見ることかなぁ』


『そこでキスするっていうのが理想！』








気づいたときには自分の理想をペラペラと話していて。









そんな私の言葉に目の前の照史くんは"ええなぁ！"とグーサインをしていた。

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