[続] シ ェ ア ハ ウ ス ≪ Nozomu.K ≫

ハウス03. ページ3

ぼーっとした頭で授業を受ける。

そんな私の頭の中は望さんのことでいっぱいだった。









『未だに嘘なんじゃないかと思ってまうんよなぁ……』



自分の左手をしばらく見つめる。

さっき望さんに繋がれた左手を何度見つめてもあまり実感が湧いてこなかった。




あ、あの望さんと付き合うことになるなんて。

観覧車の中のキス…も夢じゃないんよな。









『きゃぁああああ…！！』


「安藤さん…？どうかしました…？」









あのときのキスのことを思い出して一人で興奮していると講師にそんなことを言われてしまって。









慌てて我に返れば生徒全員の視線を集めてしまっていた。









.



あれから大学を終えた私はのんびりと歩いて。

玄関の近くまで行くとなぜか人だかりができていた。









「おい…！！」



珍しいなぁ、こんなところに人だかりができるなんて。

そう思いながらその場を通り過ぎようとすれば後ろからガシッと肩を掴まれてしまった。









「おい…！何で無視してんねん…！」


『え！望さん！！』



人だかりの中から顔を出したのはまさかの望さんで。

目の前の望さんは"何で呼んでるのに無視するねん"とどこか怒った様子だった。









『わざわざ来てくれたんですか…？』


「何やねん、その顔」



ゆ、夢みたい。

望さんが大学まで迎えに来てくれるなんて。




周りにいる女の子たちがキャーキャー騒いでいて少し恥ずかしい。

そんな女の子たちなんてお構いなしに望さんは私にデコピンをしていた。









『ちょっと！人がいる前で何してるんですか！！』


「さっき"外ではしてもいい"って言ってたけど？」



『それは時と場合によるじゃないですか！こんな人前でやめてください！』


「ふはっ…じゃあハグの一つぐらいでも見せつけてやるか？」



望さんは人をからかうのが上手い。

それもいつも楽しそうにからかってくるから罪な男だ。






目の前の望さんはグイッと私に身体を引き寄せてきて。

私はその瞬間大学から大毅くんが出てくるのが見えてしまった。




や、やばい！！！ばれる！！！！

そう思った私は咄嗟に目の前の望さんを思い切り突き飛ばしていた。








「Aやん〜！！こんなところでどうした…って望が倒れてる！！！！」


『あ、あははっ…大毅くん奇遇やね』









目の前に突然現れた大毅くんに私は冷や汗が止まらなかった。

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