[続] シ ェ ア ハ ウ ス ≪ Nozomu.K ≫

ハウス20. ページ20

照史くんがいない三人での生活が二日目に突入した。

結局望さんが私のどこを好きなのかは分からなかったけど聞くのはもう諦めることにした。



…今は望さんと付き合っているこの時間を大切にしよう。









そう思いながらリビングでテレビを見ていると上の階から"ひ、ひぃいいいい！"という大毅くんの声が聞こえて。

慌てて駆けつければ私の部屋の中にいる大毅くんが泣きそうな顔でこちらを見つめていた。









『すごい声聞こえてきたけど…なんかあった？』


「A、ほんまにごめん……」



『どうしたん？怒ったりせえへんから言って？』


「Aの部屋を掃除しようとしたら…このキーホルダー落としてもうて踏んで割れてもうて……」



そう言って大毅くんが見せてきたのは家族旅行で買ったキーホルダーだった。

家族みんなお揃いでそれぞれ色が違って家族みんな大切に使ってくれている。



私も大切にして部屋に飾っていた白のキーホルダーだった。









「ごめんなさい……」


『全然ええよ！部屋の中に置いてた私が悪いんやし！』



「で、でも……」


『大毅くんは私の部屋を綺麗にしようとしてくれてたんやろ？その気持ちだけで嬉しいで？』



"私は全然気にしてへんから大丈夫！"そう言って微笑むと大毅くんはまたさらに泣きそうな顔をしていて。

よしよしと頭を撫でてやれば大毅くんは"もう余計なことはしません"と言っていた。








『キーホルダーが壊れたぐらいでショック受けへんから大丈夫やで』









そう言った私に目の前の大毅くんはホッとしたような顔を浮かべていた。









.


……大毅くんの前ではああ言ったけど。

本当は悲しくて辛くて胸が痛かった。




唯一家族みんなでお揃いのものだった。

部屋の中に入ってキーホルダーを見つめるのが好きだった。






…大毅くんが悪いわけじゃないって分かってるけど。

何だか家族みんなで繋がっていたものが一つなくなった気がして無性に悲しくなった。









『う、うぅっ……』



本当は大切なキーホルダーだった、私にとって宝物だった。

キーホルダーが壊れたぐらいでって強がったけどそんなことない。



ショック受けへんって言ったけどそんなことない。









「おい、ご飯できたぞ」








すると突然ドアの外からそんな望さんの声が聞こえて。









望さんの声にまたさらに泣きそうになった私は慌てて"いりません！"と言った。

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