シ ェ ア ハ ウ ス ≪ Nozomu.K ≫

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少し冷たいそよ風が吹く秋。

私はそんな風に少しだけ身震いをした。








『ここが今日から私が住む家かぁ……』



目の前の大きい一軒家を見つめる。

重い重いキャリーケースを運びながらインターホンの前に立った。






安藤A、19歳。

今年の春から大学生になって楽しい毎日を送っている。


大学生活はとても楽しい。

死ぬほど勉強して入った大学はとても心地の良い場所だった。







そんなある日「一人暮らしがしたい！」と親に相談して。

心配性な私の両親には当然反対された。




周りの人たちはみんな一人暮らしを始めてて。

自立して未来のことも考えて。



私だって好きなことして生きていきたい。

そう思って親に反抗すれば私のお父さんは「嫌なら出てけ！」と吐き捨てた。









『結局一人暮らしはできひんかったけど……』



それ以来お父さんとは口をきかなくなった。

心配したお母さんが私に住めるところを紹介してくれて。



「一人暮らしじゃないねんけどごめんな」そう言ったお母さん。

そんなお母さんは私に「これで我慢して」とスマホの画面を見せてきた。






スマホの画面にはお母さんの知り合いらしい人物とのメールのやり取りで。

そこには"一人ぐらいなら僕の家で預かりますよ"そう書かれてあった。



これ…やばいやつちゃうんか。

そのやり取りを見た感想はそれだけだった。








でもお母さんの信頼している人みたいやしこの家におるのも嫌やし。

そう思った私はそこで住むことに決めた。



……そして今に至る。









想像以上に大きい家にインターホンを押そうか迷っているとがちゃっと家のドアが開いて。

中から出てきた男の人は私を見るなりたちまち笑顔に変わった。









「照史〜！来たで〜！」



そう言って中の人を呼ぶ男の人。

そんな男の人は"ほら、こっち来て！"とこちらに手招きをした。









「俺大毅っていいます、ここに住んでるうちの一人やからよろしくな！」


『は、はぁ……』



メールの人以外にまだ人が住んでるって聞いてたけどまさか男の人とは。

目の前でにこにこ笑う大毅さんはとてもいい人そうだった。









「今こっちに向かって走ってきてるのが照史でお母さんにメールしてたのも照史やで」









必死で靴を履き替えている照史さんは笑顔で"待ってたで〜！"と言ってくれて。









優しく出迎えてくれる二人に何だか楽しくなりそうな気がした。

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