新 人 執 事 ≪ Daiki.S ≫

執事47.。 ページ47

あれから一か月後。



日差しが照りつけてきてゆっくりと目を覚ます。

隣には"おはようございます！"と言ってぴょんぴょん飛び跳ねる重岡がいた。









『重岡、またネクタイ曲がってるで』


「え？どこですか？直してくれません？」



そう言ってぐいっと私と距離を縮めてくる重岡を無視して立ち上がる。

そんな私に重岡は"ちょっとA様〜！"なんて言いながら追いかけてきていた。



あれから重岡はまたここで執事として働くことになった。

相変わらずタキシードは着こなせていないけど。








あの後お父さんは思っていたほど怒っていなかった。

ここの家で住むことを許してくれたし"好きなように生きなさい"とまで言ってくれて。



お母さんは私が重岡と付き合い始めたことを"おめでとう"ととても喜んでくれていた。









『おはよう、神山』


「A様おはようございます、相変わらずしげとラブラブですね」



もちろん神山もまたここで働くことに。

きっちりタキシードを着こなしている神山は重岡とは違う、できる執事だ。








「A様、今度小瀧家の望様がご結婚されるみたいなんです」


『え！あの望さんが！！』



「それで近々結婚式を挙げるらしいんですけどA様と重岡を招待したいらしくて」


『うん！もちろん行く！！』



そう言いながら目の前にフレンチトーストを置く神山。

私の言葉に神山は嬉しそうに微笑んでいた。






あれから望さんにはとてもお世話になった。

感謝してもしきれないぐらい素敵な人だったから幸せになってほしい。




加奈子ちゃんも政略結婚だったけど今は幸せに過ごしているらしい。

結婚式のときの友人スピーチは緊張したなぁ。









幸せの形なんて人それぞれ。

幸せは他人が決めるものじゃない、自分が決めるものだ。






隣で美味しそうにフレンチトーストを頬張る重岡のほっぺにキスを落とせば

重岡は"なっ…！"と言いながら顔を真っ赤にしてこちらを見つめていた。









「A様！A様！起きてください！！！」




突然私の家にやってきた"新人執事"は。









「A様！大好きです！！」




今も私の隣で"新人執事"をしています。









新 人 執 事









END

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