新 人 執 事 ≪ Daiki.S ≫

執事02. ページ2

若干固まっている私を無視して"ほら、しげも挨拶して"と背中を押す神山。

そんな彼はトトトッと私の目の前まで走ってきた。









「改めて今日からお世話になります、重岡大毅です！」



今日からって……もしかして執事未経験者？

まさかの見習い執事！！！！！









『神山、この男を今すぐクビにして』



そう言って重岡の方を指指せば驚いたような顔をする重岡。

そんな私の言葉に神山は"ちょっと待ってください…"と言っていた。









『朝起こすのはこれからも神山でいいから』


「そうですけど…A様……」



私はいつも朝の7時にゆっくりとカーテンを開けてくれる神山の目覚めが好きだった。

神山はしっかりしているし丁寧だしそれで私の専属執事にしてもらったというのに。



なんでそんな神山と真逆の男が急に現れるんよ。









「お父様が神山一人でやりくりするのは大変やろうからと言ってくださいまして」


「そこで私の助手として一緒に働いてくれる方を探していたんです」



いつの間にそんな計画立ててたんだ。

申し訳なさそうに眉を下げる神山は"それで重岡に……"と言っていた。









『でも何でわざわざ見習い執事を？』


「お父様がそろそろ新人の子も入れてもいいんじゃないかっておっしゃって」



『いくら何でも新人すぎひん？』


「至らないところは私がしっかり注意していきますので！」



納得いかない私に必死に事情を説明する神山。

注意するっていっても…それは逆に神山の負担になるんじゃないのか。









『でもタキシードも着こなさせてへんし…私は納得いってないから』



神山と違って少し雑に着こなしているタキシード。

目の前の重岡は慌ててタキシードの皺を伸ばしていた。









「あ、あの！！一週間だけ時間くれませんか！！」


「その間にA様に認めてもらえるように頑張るので！！」



"絶対一人前の執事になるので！！"と言い切った重岡はなぜかドヤ顔。

そんな重岡のネクタイは相変わらず曲がっていた。





いやいや…無理があるやろ。

一週間で一人前とかそんなん絶対無理やん。









『わ、分かったから…近い……執事ならちゃんと距離感考えて…』


「よ、良かった！A様！！」








重岡の圧に負けて慌ててそう言えば重岡は嬉しそうに喜んでいた。









何だかすごく面倒なことに巻き込まれてしまったみたいです。

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