執事34. ページ34
ゆっくりと目を開けば目の前にはいつもの天井。
どうやらあの後私は眠ってしまったらしい。
そのまま身体を起こしてぐーっと伸びをした。
重岡が新しくしてくれた花柄のシーツはとても寝心地が良かった。
『…重岡のくせに意外と女の子の趣味分かってるんやな』
『今度プリンでも買ってあげようかな』
もう私の頭の中は重岡のことでいっぱいで。
重岡のことを考えるだけで嬉しくなった。
……でも現実はそう上手くいかない。
突然とんとんとんっと部屋をノックされて。
"はーい"と言えば"入るぞ"というお父さんの声が聞こえた。
…嫌な予感がした。
「Aちょっと来てくれへんか」
『分かった、すぐ行く』
お父さんの表情からきっと大事な話なんだなってそう思った。
私は慌ててベッドから降りお父さんに続くように家を出た。
.
それから私はリビングへと案内されて。
リビングにはお母さんも座っていた。
"Aはこっちに座りなさい"と言ったお父さんの指示に素直に従う。
……きっと多分そういうことなんだろう。
「Aに大事な話がある」
そう言ったお父さんの声がリビングに響く。
奥の部屋から紅茶を持ってきた神山はそのまま私の目の前に置いていた。
どうやら重岡は買い出し中らしい。
『お父さん分かってるで、結婚のことやろ?』
「…もう神山から聞いとったんか」
そう言うとお父さんはほっとしたように胸を撫で下ろしていて。
神山は"早めに伝えておいた方がいいかなと思いまして"と軽く頭を下げていた。
「それでな来週ここの家で顔合わせをすることになって」
「その日は空けといてほしいねん」
そんなお父さんの言葉に私は"分かった"と言ってその場に立ち上がった。
お父さんは"じゃあそういうことやから"と言いながら自分の部屋に戻っていって。
ちらっと神山の方を見ればどこか気まずそうに微笑んでいた。
……改めて結婚することを強く実感させられた気がした。
現実を突きつけられたようなそんな感じ。
正直この場に重岡がいなくて良かったと思った。
重岡にだけは知られたくない。
「A心配せんでも大丈夫、小瀧さんのご家族はいい方ばっかりやから」
隣にいたお母さんのそんな声が聞こえる。
結婚したくないなんて言えるはずがなかった。
828人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りってぃ(プロフ) - のんさん» そう言っていただき本当に嬉しい限りです(T_T)全部作品読んでくださるなんて本当に嬉しいです、のんさんも無理しない程度に作品読んでくださいね(;_;)!お気遣いありがとうございます、これからも頑張ります!(^^) (2020年10月20日 19時) (レス) id: 4df73778e7 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - めちゃめちゃ良かったです(;▽;)一気にファンになりました。今からりってぃさんの全作品読んできます!無理なさら無い程度でいいのでこれからも楽しみにしています!お身体にお気をつけてお過ごしください (2020年10月20日 13時) (レス) id: dc321bd858 (このIDを非表示/違反報告)
りってぃ(プロフ) - やさきみさん» やさきみさん!(T_T)いつもコメントいただいて本当に励みになってました、再開してからも早速コメントいただいて本当に嬉しい限りです(-.-)!また作品書いていく予定なので良かったら見てくださると嬉しいです!これからもよろしくお願いいたします!(;_;) (2020年10月19日 17時) (レス) id: 4df73778e7 (このIDを非表示/違反報告)
りってぃ(プロフ) - サブレさん» 長い間待ってくださりありがとうございます(T_T)今まで気長に待っていただき本当に感謝してもしきれません!昔の作品にも目を通してくださるなんて本当に何と言っていいか(;_;)これからも全身全霊頑張っていきますね! (2020年10月19日 17時) (レス) id: 4df73778e7 (このIDを非表示/違反報告)
りってぃ(プロフ) - しゅー!さん» ただいまです(;_;)本当に長い間待たせてしまって申し訳ないです(T_T)新作もすぐに更新していくつもりなので楽しみにお待ちください!1年間もの間楽しみに待っていただき本当にありがとうございました! (2020年10月19日 17時) (レス) id: 4df73778e7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:りってぃ | 作成日時:2019年8月14日 20時