同居47. ページ47
翌日。
あの後引っ越しをすることも小瀧は教えてくれて。
引っ越し当日の今日、私の部屋には小瀧の段ボールがたくさんあった。
「これで最後かと思うと寂しくなるなぁ」
『小瀧の布団とか小瀧の生活用品とかいざなくなると悲しいもんやな』
そんな会話をする私たちの手はしっかりと繋がれていて。
隣で優しく微笑んでくれる小瀧に私も優しく微笑み返した。
「もう俺の手料理が食べられへんくなると思うと悲しいなぁ？」
『やめて、そんなこと言われたら泣きそうになる』
べしっと小瀧の肩を叩けば、小瀧はにやにやと笑いながらこちらを見つめていて。
何でこんなときににやにや笑っとんねん。
そんなやり取りをしばらくしていると私の家に引っ越し業者の人がやってきて。
普通は何人もいるはずの引っ越し業者はなぜか一人だけだった。
あれ…？一人だけ？
"じゃあこれ運べばいいんですね？"と話している引っ越し業者さんはやっぱり一人だ。
「この荷物を全部隣に運べばいいんですかね？」
「はい、そうですそうです」
そんな業者さんの質問に軽快にそう答える小瀧。
ん…？ちょっと待てよ？
『隣ぃぃいいいいい？？？』
気づいたときには思わず今までにないぐらい大きな声を出していて。
"ん？"と言って振り返る小瀧は不思議そうな顔をしていた。
『隣って…どこのこと？』
「山村の部屋の隣の部屋ってこと」
そう言って鍵を見せてきた小瀧の部屋番号は"506"と書かれてあって。
完全に私の隣の部屋だった。
『なっ…！今までの私の寂しさと悲しさと涙を返せ！！！！』
「え〜？もしかして俺が遠くに引っ越すとでも思ってたん〜？」
くっ…こいつ……やっぱり世界一嫌い。
ぎりっと目の前にいる彼を睨んでやれば彼は楽しそうに"ふはは"と笑っていた。
「でも同居はできひんくなるっていうのは事実やん？」
『そんなんどうでもええわ、そんなことより引っ越しにびっくりやわ！』
「ちょ、ひどない？俺はめっちゃ寂しいねんけど？」
『隣やねんから寂しいもくそもあらへん！！』
明らかにがーんっとしている小瀧を後目に私は慌てて洗面台に隠れ込んだ。
自分のにやにやしている顔を抑えるためだ。
良かった、小瀧遠くに行かないんだ。
…この同居生活は本当に終わってしまうけど。
また新しい何かが始まるような気がした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1543人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りってぃ(プロフ) - 桃から生まれたももさん» コメントありがとうございます(;_:)ありがとうございます…！続編希望のお言葉も嬉しいです、また書いたときはぜひ見にきてくださると嬉しいです…！これからもどうぞよろしくお願いいたします(..)** (2019年6月25日 19時) (
レス) id: 7cdc997d36 (このIDを非表示/違反報告)
桃から生まれたもも - 完結おめでとうございます~...で良いのかな..？ 無理をしない程度に続編みたいです! (2019年6月23日 22時) (レス) id: 03ea0da012 (このIDを非表示/違反報告)
りってぃ(プロフ) - 天使＝重岡ぁさん» コメントありがとうございます(;_:)おめでとうというお言葉ありがとうございます…！続編希望のお言葉もすっごく嬉しいです！まだ書くかは分かりませんが、ふら〜っと現れて書きに来るかもしれないのでそのときはぜひ見ていただけると嬉しいです(..)*** (2019年6月11日 19時) (レス) id: 7cdc997d36 (このIDを非表示/違反報告)
天使＝重岡ぁ - 完結おめでとうございます！できれば続編をかいてほしいです。 (2019年6月10日 22時) (レス) id: d85f290257 (このIDを非表示/違反報告)
りってぃ(プロフ) - ゆずれもんさん» コメントありがとうございます(;_:)おめでとうのお言葉ありがとうございます…！大好きだなんて…本当に嬉しいです、やる気の源です(..)！続編希望のお言葉も本当に嬉しいです、またふら〜っと書きに来たときはぜひ愛読してください…！ (2019年6月10日 19時) (レス) id: 7cdc997d36 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りってぃ
| 作成日時：2019年3月19日 14時
