同居40. ページ40
"頑張れ、Aちゃん"
あの言葉に少しだけ、いやとても背中を押された気がした。
素晴らしいアドバイスを貰ったわけではないけど先輩のおかげですごく心が晴れた。
『先輩もあんなに優しいからみんな勘違いしてまうんよね』
急に名前で呼んだりそういうところずるいなっていつも思う。
でもそれはきっと先輩なりの優しさなんだなって…そんなん余計惚れてまうわ。
『今日こそ小瀧とちゃんと向き合って謝って話して……』
小瀧への気持ちに気づいた今、私がやるべきことは一つ。
しっかり話し合って小瀧と向き合わなきゃ。
いつまでも逃げてたって仕方ないし。
がたんごとんと揺られる電車の中で私は静かにそう決意した。
.
駅を降りて歩き進めれば見えてきた私のマンション。
意を決してゆっくりと中に入れば受付には大家さんがいた。
『こんばんは』
「あ!山村さん!久しぶりね〜!」
小さく挨拶をすれば優しくそう返事をしてくれた大家さん。
そんな受付の奥の方にはたくさんの段ボールが積まれていた。
『その段ボールは?』
段ボールは綺麗に畳まれて積まれてあってまだ使っていない様子で。
"引っ越しセンター"と書かれた段ボールに少し気になってそう聞いてみた。
「あぁ、これは小瀧くんのやつやで」
そう言った大家さんに少しだけ思考停止をする。
"え?小瀧?"と大家さんに聞き返せば大家さんは驚いたように目を丸くしていた。
「あれ?まだ小瀧くんから聞いてない?」
「小瀧くん、新しく住むところが決まったんよ」
大家さんの言葉に完全に私の頭は真っ白になった。
そんなの聞いてない、小瀧からは何も聞かされてない。
「私も二人には悪いことしたなぁって今さらながら反省しててん」
「年頃の男女をいきなり同居させるなんてやっぱりあかんなって」
大家さんの言葉など全く頭に入ってこなかった。
新しいところに住むってことはもう一緒に住めなくなるってこと?
「最初二人とも"同居なんて嫌や!"って言ってたやろ?」
「やっと小瀧くんの住むところが決まって良かったなぁって思ってるんよ」
"ごめんね""今までお疲れ様"そう言った大家さんの言葉はとても優しかった。
良くない、良くないよ、やっと小瀧の気持ちに気づいたばっかりやのに。
目から一粒小さな涙が零れていった。
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りってぃ(プロフ) - 桃から生まれたももさん» コメントありがとうございます(;_:)ありがとうございます…!続編希望のお言葉も嬉しいです、また書いたときはぜひ見にきてくださると嬉しいです…!これからもどうぞよろしくお願いいたします(..)** (2019年6月25日 19時) (レス) id: 7cdc997d36 (このIDを非表示/違反報告)
桃から生まれたもも - 完結おめでとうございます~...で良いのかな..? 無理をしない程度に続編みたいです! (2019年6月23日 22時) (レス) id: 03ea0da012 (このIDを非表示/違反報告)
りってぃ(プロフ) - 天使=重岡ぁさん» コメントありがとうございます(;_:)おめでとうというお言葉ありがとうございます…!続編希望のお言葉もすっごく嬉しいです!まだ書くかは分かりませんが、ふら〜っと現れて書きに来るかもしれないのでそのときはぜひ見ていただけると嬉しいです(..)*** (2019年6月11日 19時) (レス) id: 7cdc997d36 (このIDを非表示/違反報告)
天使=重岡ぁ - 完結おめでとうございます!できれば続編をかいてほしいです。 (2019年6月10日 22時) (レス) id: d85f290257 (このIDを非表示/違反報告)
りってぃ(プロフ) - ゆずれもんさん» コメントありがとうございます(;_:)おめでとうのお言葉ありがとうございます…!大好きだなんて…本当に嬉しいです、やる気の源です(..)!続編希望のお言葉も本当に嬉しいです、またふら〜っと書きに来たときはぜひ愛読してください…! (2019年6月10日 19時) (レス) id: 7cdc997d36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りってぃ | 作成日時:2019年3月19日 14時