同 居 男 女 ≪ Nozomu.K ≫

同居04. ページ4

片手に握りしめているスマホ、見たことのある茶髪。

そこに立っていたのは紛れもなく"小瀧"だった。





『は…？男？しかも小瀧？』


「小瀧くん！！こっちやでこっち！！」



呆然と立ち尽くす私に笑顔でこちらに駆け寄ってくる小瀧。

大家さんめっちゃ目がハートになってるし…これはやばいな。






『大家さんいくら何でもこれはやりすぎやと思いますけど！』


「しゃーない…めっちゃイケメンやってんからおっけーするしかなくて」



こっそり大家さんにそう話しかければ大家さんは本音らしき本音を言ってきて。

どうやら送られてきた小瀧の写真があまりにもイケメンだったから了承してしまったらしい。



大家さんただの面食いやん！とつっこみそうになったのを慌てて抑え込んだ。






「山村…お前何でこんなとこに」


「小瀧くん、実は今日から同居する相手この子山村さんやねん」



私を指差す大家さんに思わず後ずさりをする小瀧。

そんな小瀧は"はぁああああっ？"と大きな声で叫んでいた。






「大家さん、俺同居する相手が女とか聞いてへんねんけど！」


『それはこっちのセリフじゃ！！何でよりによって小瀧！！』



最悪…小瀧と同居とかただでさえ一人暮らし楽しみにしてたのに。

さっき小瀧とすれ違ったときも小瀧はこのマンションに向かってたと思うだけで寒気がする。






「まぁまぁ、二人とも同い年やし同じ学校やろ？仲良くしてや？」



そう言った大家さんは"一部屋しか空いてないからしゃーないわ"と言って。

さらに"何かあったら連絡して〜"と呑気に受付の方へ歩いて行ってしまった。






『何で小瀧と同じ家で過ごさなあかんの』


「何やねん、そんなに嫌なんか」



がっかりと下を向けば不意にそんな小瀧の声が聞こえて。

そう言った小瀧はなぜか私の頭にぽんっと手を置いた。






「まぁ、今日から"同居人"としてよろしく」



そう言ってにやっと笑う小瀧はそのままエレベーターの方に歩いて行ってしまって。

そんな小瀧に何だかむかついて後ろから小瀧の頭を軽く殴ってやった。






『同居人とか言うのやめて！なんか気持ち悪いから！！』


「はぁ？同居人ってかっこいい響きやん？」







"どこが！！"なんて言ってやれば小瀧はへらへらと笑っていた。









春の訪れとともにやってきたものは私にとってとてつもなく大きなものだったのだ。

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