同居22. ページ22
カレーを食べ終えると小瀧は私にソファに座るよう指示して。
黙ってソファに座れば小瀧は一人で洗い物をしていた。
『なぁ、小瀧』
「ん?」
『……ありがとう』
「俺は何もしてへんし」
自分の思いを伝えれば小瀧はどこか照れくさそうにそう言った。
もう嬉しいのか悲しいのかどっちの感情か分からなくなって。
訳が分からない自分にまた涙が溢れてきた。
「あぁ、もう泣くなって」
『や、やってっ……』
洗い物を途中で放棄した小瀧は慌てて私の元へやってきて。
"泣かんでいい"そう言って私の隣に腰掛けた。
「山村が本気で先輩のこと好きやったことも知ってるから」
「全部全部分かってるから」
"やから泣くな"そう言って私の髪をわしゃわしゃとして。
そんな小瀧は自分の鞄からごそごそと何かを探り出した。
「ほら、こいつも笑ってるやろ?」
そう言って取り出したのは私が小瀧にあげたナママケモノだった。
いつの間にか自分の鍵につけてある小瀧のナママケモノはとても楽しそうに笑っていた。
『ふふふ、変な顔』
「可愛いやんけ、俺は気に入ってるんやぞ」
いつの間に鍵につけていてくれたのだろうか。
この前はつけていなかったのに…何だかとても嬉しくなった。
私の目の前で楽しそうに笑う小瀧を見て思った。
小瀧は優しいんだ、これは小瀧の優しさなんだって。
「お前の泣いた顔不細工やったなぁ〜」
『なっ!何でそういうこと言うんよ!!』
目の前でそう言って楽しそうに笑う小瀧の頭を軽く叩いてやった。
.
ぼーっとソファに寝転がる。
小瀧がお風呂に入っている間はただただ一人でぼーっと天井を見つめていた。
小瀧はお風呂に入るまでずーっと私のことをからかっていた。
むかついたけどその間は藤井先輩のことなんて一ミリも頭になかった気がする。
そんなことを考えているとがちゃっと小瀧がお風呂から出てきた音がして。
思わず私は目を閉じて寝たふりをしてしまった。
"寝てるんか?"そう言って私の目の前まで近づいてきた小瀧。
そんな小瀧はじーっと私を見つめているような気がして何だか少し恥ずかしかった。
すると突然そっと頭を撫でられてびっくりしてしまう。
「……俺を好きになればええのに」
小さな声でそう呟いた小瀧の言葉の意味が私には理解できなかった。
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りってぃ(プロフ) - 桃から生まれたももさん» コメントありがとうございます(;_:)ありがとうございます…!続編希望のお言葉も嬉しいです、また書いたときはぜひ見にきてくださると嬉しいです…!これからもどうぞよろしくお願いいたします(..)** (2019年6月25日 19時) (レス) id: 7cdc997d36 (このIDを非表示/違反報告)
桃から生まれたもも - 完結おめでとうございます~...で良いのかな..? 無理をしない程度に続編みたいです! (2019年6月23日 22時) (レス) id: 03ea0da012 (このIDを非表示/違反報告)
りってぃ(プロフ) - 天使=重岡ぁさん» コメントありがとうございます(;_:)おめでとうというお言葉ありがとうございます…!続編希望のお言葉もすっごく嬉しいです!まだ書くかは分かりませんが、ふら〜っと現れて書きに来るかもしれないのでそのときはぜひ見ていただけると嬉しいです(..)*** (2019年6月11日 19時) (レス) id: 7cdc997d36 (このIDを非表示/違反報告)
天使=重岡ぁ - 完結おめでとうございます!できれば続編をかいてほしいです。 (2019年6月10日 22時) (レス) id: d85f290257 (このIDを非表示/違反報告)
りってぃ(プロフ) - ゆずれもんさん» コメントありがとうございます(;_:)おめでとうのお言葉ありがとうございます…!大好きだなんて…本当に嬉しいです、やる気の源です(..)!続編希望のお言葉も本当に嬉しいです、またふら〜っと書きに来たときはぜひ愛読してください…! (2019年6月10日 19時) (レス) id: 7cdc997d36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りってぃ | 作成日時:2019年3月19日 14時