同 居 男 女 ≪ Nozomu.K ≫

同居19. ページ19

放課後。



とぼとぼと家まで歩いていると目の前を歩いている小瀧。

そんな小瀧に"よっ"と話しかければ小瀧も"よっ"と返してくれた。






『小瀧珍しいやん、こんな遅くに帰ってるとか』


「ん〜、なんかめんどくさいやつがおってな」



私の言葉にイヤホンを外しながらそう答える小瀧は何かあったのだろうか。

がしがしっと頭を掻く小瀧を不思議に思いながら見つめた。






「今日告白してきたやつがおってんけど…なかなかめんどくさくて」


『あ、今日の休み時間のやつ？』



「断ったら泣き出して急にそいつの友達とか現れてめっちゃ悪者扱いされた」


『うっわ…どんまいやな』



そう言いながら"あはは"と苦笑する小瀧はどこか疲れているように見えて。

あぁ…相当大変だったんだなとそう実感した。






「女子ってめんどくさいから苦手やわ」



"俺には恋愛なんて百年早いわ〜"なんて言う小瀧。

そんな小瀧は鼻歌を歌いながら目の前に落ちている石を蹴っていた。



てっきり小瀧は女子が好きなのかと思ってた。

誰にでも気軽に話しかけてるし色んな女子に話しかけに行ったりしてるし。







『小瀧！喉乾いた！』


「自分で買いに行け」



小瀧の新しい一面がどんどん見えてくる気がして。

何だかとても嬉しくなった。






「分かった、じゃあじゃんけんで負けた方が奢りな」



そう言って"最初はグー"と言い始める小瀧に慌てて準備する。

思い切ってチョキを出せば小瀧はパーを出していた。






『やったぁあ！！勝った勝った！』


「もう最悪やわ……」



喜ぶ私に"そこで待っとけよ！！"と言ってコンビニに入っていく小瀧。

そんな小瀧を見送ってしばらくその場に立って待つことにした。







『小瀧じゃんけん弱すぎやろ……』



小瀧のじゃんけんの弱さに思わず一人で笑いそうになっていると遠くに見えた影。

目を細めて確認してみるとそこにいたのは紛れもなく藤井先輩だった。



ふ、藤井先輩や！！

制服姿で立っている先輩は何をしているのだろうか。






しばらく見つめていると藤井先輩は急に嬉しそうな顔に変わって。

そのままひらひらと大きく誰かに手を振っていた。



そんな藤井先輩の元に駆け付けていたのは私とは比べものにならないくらい綺麗な女性で。

そのまま二人は手を繋いでどこかへ歩いて行ってしまった。






ただただ頭が真っ白になった。









今目の前で見た光景は現実でそれ以外の何ものでもなかったのだ。

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