同居13. ページ13
翌日。
翌朝もなぜか少しだけ空気が重くて。
お互い会話はするけど何か上辺だけの会話のようなそんな気がした。
「山村、俺先行っとくからな」
洗面所で髪を整えている私にそう言い放った小瀧。
そんな小瀧に"あ、うん〜"と軽く返事をした。
それと同時に今日は午後から雨が降ることを思い出して。
私は慌てて洗面所から"待って!!"と大きな声を出した。
「なに?」
『今日は昼から雨降るみたいやから』
そう言ってビニール傘を差し出せば小瀧は渋々受け取って。
そのまま"ありがと"と軽く微笑んでいた。
我ながら親切な自分に感心する。
この親切さは小瀧との険悪さを和ませたいからだろうか。
普段では絶対しない自分の行動に冷や汗が出た。
ビニール傘を片手に持ってドアを開ける小瀧。
そんな小瀧の持っている鍵には昨日渡したストラップはついていなかった。
ばたんっと音を立てて閉まるドア。
しーんっと静まり返ったこの空間に少しだけ寂しくなった。
昨日あげたナママケモノ…つけてなかったな。
でも私が無理矢理渡しただけやし別に小瀧がどうしようと自由やし。
……でもちょっとだけ悲しい。
そんな気持ちを抑えて制服へと着替えた。
.
『これって私が悪いんかな?』
「へぇ、そんなことがあったんや」
学校に着くなり理絵に軽く相談。
険悪なムードがより険悪なムードになったことを話せば理絵は少し呆れていた。
「男子ってよく分からんところあるしそういうもんなんちゃう?」
『そうなんかな……』
もう家に帰りたくない…あんな空気の中で過ごすとかしんどすぎる。
うなだれていると理絵は"まぁ、藤井先輩と話せたから良かったやん"と言ってくれた。
すでに話していた藤井先輩とのこと。
わざわざその話をしてくれる辺り理絵はとても優しい。
『そうやねん!
この鍵のストラップも藤井先輩が一番好きなやつやねん!』
「へぇ、この猿みたいなやつが好きなん?」
"なんか可愛いから好きらしい"そう言えば理絵は不思議そうに見つめていて。
ナママケモノの中でも藤井先輩が一番好きなキャラ。
それを聞いてついつい私も同じのを買ってしまったのだ。
"めっちゃ不細工な顔やな"と言った理絵。
そんな理絵の言葉を聞きながら私はしばらくナママケモノを見つめていた。
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りってぃ(プロフ) - 桃から生まれたももさん» コメントありがとうございます(;_:)ありがとうございます…!続編希望のお言葉も嬉しいです、また書いたときはぜひ見にきてくださると嬉しいです…!これからもどうぞよろしくお願いいたします(..)** (2019年6月25日 19時) (レス) id: 7cdc997d36 (このIDを非表示/違反報告)
桃から生まれたもも - 完結おめでとうございます~...で良いのかな..? 無理をしない程度に続編みたいです! (2019年6月23日 22時) (レス) id: 03ea0da012 (このIDを非表示/違反報告)
りってぃ(プロフ) - 天使=重岡ぁさん» コメントありがとうございます(;_:)おめでとうというお言葉ありがとうございます…!続編希望のお言葉もすっごく嬉しいです!まだ書くかは分かりませんが、ふら〜っと現れて書きに来るかもしれないのでそのときはぜひ見ていただけると嬉しいです(..)*** (2019年6月11日 19時) (レス) id: 7cdc997d36 (このIDを非表示/違反報告)
天使=重岡ぁ - 完結おめでとうございます!できれば続編をかいてほしいです。 (2019年6月10日 22時) (レス) id: d85f290257 (このIDを非表示/違反報告)
りってぃ(プロフ) - ゆずれもんさん» コメントありがとうございます(;_:)おめでとうのお言葉ありがとうございます…!大好きだなんて…本当に嬉しいです、やる気の源です(..)!続編希望のお言葉も本当に嬉しいです、またふら〜っと書きに来たときはぜひ愛読してください…! (2019年6月10日 19時) (レス) id: 7cdc997d36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りってぃ | 作成日時:2019年3月19日 14時