同 居 男 女 ≪ Nozomu.K ≫

同居01. ページ1

私はこの春から高校二年生になる。

つい最近卒業を迎えた生徒たちは新しい環境へと変わっていくそんな季節だ。






私は高校生になってからの毎日が満開の桜のような気分で。

そして高校二年生になった今も心の中の桜は満開なのだ。





『はぁ…今日もかっこいいなぁ』



その理由は私にもついに好きな人というものができたから。

窓から校庭をぼーっと見つめていると親友の理絵が呆れた顔で私の傍にやってきた。





「また藤井先輩…？」


『そうやねん〜、このクラスの窓めっちゃ見れるから最高』



隣から理絵の深いため息が聞こえてくる。

そんなため息も気にならないくらい私は今藤井先輩に夢中なのだ。





藤井先輩こと藤井流星さん。

そんな先輩とは一年前の入学式のときに出会って。



どこか面倒くさそうにスピーチを読む藤井先輩がとてもかっこよく素敵で。

一目惚れをした私はそのままあっという間に恋に落ちた。






「でもさぁ、藤井先輩も今年三年生やから来年卒業やん？」


『そっか…そんなこと気にしたこともなかったわ』



「一回ぐらい話しかけたらええやん」


『来年から先輩見られへんとか私の生きる糧が…』



今満開に咲いている私の桜は来年になったら枯れ果てていそうで。

思わず大きなため息をついた。






「うぃーす！みんなおはよ！」



がくっとうなだれていると教室中に響いたそんな声。

その声の主にみんなは笑顔で駆け寄って挨拶を返していた。






『小瀧…相変わらず人気やな』


「そりゃそうやろ…あの顔にあのスタイルでモテへん方がおかしいわ」



変なギャグを言いながら教室に入ってくる小瀧は一応クラスメイト。

落ち着いている藤井先輩とは真逆で私はあまり好きなタイプじゃない予感がむんむんとする。






『そんなことより…藤井先輩が来年でそつぎょ……』


「藤井先輩？がどうしかしたん？」



そう言いかけた瞬間、後ろから小瀧の声がして。

慌てて振り返れば私の方を不思議に見つめる小瀧が立っていた。



やばっ…今の聞かれたやん。






「あぁ、Aが藤井先輩のこと好……」


『わぁあああっ！何でもない！ただ名前呼んでみたかっただけで！』



そう言いかけた理絵を慌てて遮る私。

最悪や、私が藤井先輩好きとか言ったら絶対馬鹿にされるし。







当の本人は"そうかそうか〜"と納得した様子で。









そのままなぜか私の髪をわしゃわしゃと撫でてから席に着いていた。

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