教師38. ページ38
お粥を食べながらちらっと辺りを見渡せばシンプルなものが置かれていて。
"一人暮らしなんですか?"と聞くと濱田さんは"おう"と答えていた。
『濱田さんって夢とかないんですか?』
「別に…そんなもんない」
私の言葉にめんどくさそうにそう言った濱田さん。
そんな濱田さんを見て私は改めて強く実感した。
『重岡さんと…正反対ですね』
重岡さんは夢に向かって毎日突き進んでて笑顔を絶やさない人。
濱田さんとは全て正反対だと思った。
私の言葉に"しげみたいじゃなくて悪かったな"と言った濱田さん。
そんな濱田さんは目の前でだるそうにスマホを見つめていた。
『でも濱田さんには濱田さんの良さがあります』
そう言って濱田さんの方を見れば濱田さんはどこか固まっている気がして。
"そういうこと簡単に言うなや"と言った濱田さんはベッドに顔を伏せていた。
ちらっと目に入ってきた濱田さんのスマホ。
そんなスマホには19時30分と書かれてあった。
『え!もうそんな時間!!家庭教師始まってる!!』
「ちょ、急に暴れんなよ」
時計を見て私は慌てて飛び上がった。
家庭教師が始まる時刻をとっくに過ぎていたからだ。
どうしよう……重岡さんずっと待ってたら。
『と、とりあえず家に帰らないと……』
そう言って慌ててベッドの上で髪を整えて。
そのままベッドから立ち上がろうとすれば目の前にいる濱田さんと思い切り目が合った。
「…行くな」
そう言った濱田さんは強引に私の腕を引っ張って。
そのせいで私は濱田さんの胸の中にすっぽり入ってしまった。
濱田さんの柔軟剤の匂いが鼻いっぱいに掠めた。
『離してください、これ以上重岡さんに嫌われたくないんですっ……』
「しげはお前のこと嫌ってなんかないっ!しげはお前のこと…!!」
私の言葉を遮るようにそう言った濱田さん。
そんな濱田さんは何かを言おうとしてたけどそのまま口ごもってしまっていた。
「しげのバイクが直ったってやつも本当は……」
そう言いかけたところでバタバタバタバタと音がして。
そのままバンッと勢いよくドアが開いて私は思わず目を見開いてしまった。
「濱ちゃん!!!何してんねん!!」
目の前には必死な顔をして汗をダラダラかいている重岡さんがいた。
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りってぃ(プロフ) - まるみざわさん» コメントありがとうございます(:_;)完結おめでとうのお言葉ありがとうございます…!濱田くん私も書いていてすっごく楽しかったキャラでした、同じ方がいて嬉しい…!これからもよろしくお願いいたします(';')*** (2019年8月14日 20時) (レス) id: 7cdc997d36 (このIDを非表示/違反報告)
りってぃ(プロフ) - な!さん» コメントありがとうございます(:_;)大好きだなんて…言葉にならないぐらい嬉しいです!また続編書こうかなと思ってたりもしてるんですけど…これで終わっちゃうのやっぱり寂しいですよね(';')ありがとうございます、頑張ります…! (2019年8月14日 20時) (レス) id: 7cdc997d36 (このIDを非表示/違反報告)
りってぃ(プロフ) - マーメイドさん» コメントありがとうございます(:_;)家庭教師の重岡くん!私も書いていてすごく楽しかったのでこれがなくなると思うと寂しいです('_')ぜひ新作も見に来てあげてください…! (2019年8月14日 20時) (レス) id: 7cdc997d36 (このIDを非表示/違反報告)
りってぃ(プロフ) - やさきみさん» コメントありがとうございます(:_;)濱田くんのこと褒めていただいて嬉しいです…!個人的にも大好きなキャラでした!ぜひ新作も見に来てください、これからもよろしくお願いいたします…! (2019年8月14日 20時) (レス) id: 7cdc997d36 (このIDを非表示/違反報告)
まるみざわ - 家庭教師完結おめでとうございます…!!濱ちゃんのキャラがすごいドストライクで毎回ドキドキしてました(^o^) (2019年8月12日 23時) (レス) id: 85ea9caf95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りってぃ | 作成日時:2019年6月10日 19時