家 庭 教 師 ≪ Daiki.S ≫

教師30. ページ30

二人が帰っていった後、ヘトヘトになりながら自分の部屋まで向かって。

私はそのままベッドに思い切りダイブした。









≪ あ、そうかそうか…二人とも仲良くなったんか！ ≫



あのときの重岡さんすごく笑顔やった。

まるで…私のことは一切好きじゃないって言われたみたい。



私はこんなにも思っているのに彼は全く思っていてくれてなかったなんて。

こんな悲しい思いをしたのは初めてだ。









≪ ……脈ナシやな ≫



そう言って馬鹿にしたように笑っていた濱田さん。

しょうがないやろ、どれだけ嫌いになろうとしても結局は好きなんやから。



私がここまで変われたのは重岡さんのおかげなんやから。









『てゆうか重岡さんっていつになったらバイク直るんやろ』


『濱田さんと会うのもう嫌やねんけど』



家庭教師の度にいちいち濱田さんが来るなんて。

せっかくの家庭教師が楽しみと地獄が混ざって嫌な気持ちになりそうだ。









始めて出会った日、私を助けてくれた。

家庭教師の日、私に精一杯の笑顔を見せてくれた。



重岡さんの大事にしているシャーペンを私にくれた。

こんなにも重たい私の背中を押してくれた。







そんな重岡さんが好きで堪らなくて。

こんなにも好きなのに…どれだけ頑張っても振り向いてもらえない。



どれだけ振り向いてもらえなくてもこの好きという気持ちが変わらないのがとても苦しかった。









『重岡さん、私スマホ見る回数めっちゃ減りましたよ』


『重岡さん、いい加減私のこと女の子として見てください』



『って……直接言えたらなぁ』



生憎、私にはそんな積極的な部分は兼ね備えていないみたいだ。

でも正直今は重岡さんとこうして笑い合えている関係で十分かもしれない。



でもふとしたときにもっと先に進みたいと思う。

そんなわがままな自分がすごく嫌になるけどそんな自分も悪くないなんて思ったり。









『桜からメール来てる…えっ…彼氏できたんあいつ』



ふとスマホを開けば桜からメールが届いていて。

"彼氏ができた"と喜ぶ桜に素直に喜べない自分に腹が立った。









『しかも相手は大学生って…余計喜ばれへんわ！嫌味かよ！！』



そう吐き捨てて枕にスマホを投げつけた。








どうして周りのみんなは結ばれていくのに私は結ばれないのだろう。









鏡に映る自分を見てまたため息が零れた。

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