家 庭 教 師 ≪ Daiki.S ≫

教師18. ページ18

可愛いって言われた！可愛いって……！！

少し雑に"可愛い"と言われただけなのに物凄く嬉しく感じた。









その日から私は少しずつ勉強を頑張るようになった。

毎日スマホを見ている時間はほとんど勉強に費やすように。



別に勉強が好きでやってるわけではないけどやるからにはきちんとやりたい。

それに……重岡さんの喜んでいる顔が見たい。









『はい！ちゃんとやってきましたよ！宿題！！』


「ま、まじか……」



もちろん宿題もしっかりするようになって。

目の前に置かれている大量わさび入り寿司を重岡さんの目の前へと移動させた。









『私が宿題してきたら重岡さんが代わりに罰ゲーム受けるって約束したじゃないですか』


「ちょ、ちょっと待って？心の準備だけさせて？」



『そんな時間ありません、早く口開けてください』


「うぐっ……」



後ずさりしている重岡さんの口に思い切り寿司を詰め込む。

案の定重岡さんの顔は青ざめていた。









「む、むり……水……」


『あ、どうしよ…！水持ってきてへん！！』



「なんで用意…してへんの…？花沢ちゃんは馬鹿なん？あほなん？」


『すみません、すぐ持ってきます…！』



水がないことに気づき慌ててキッチンへと向かう私。

相変わらずお母さんには"何してるんや"という変な目で見られたけど。









『だめですよ！きちんと五個食べないと！！』


「待って…水ぐらい飲ませてや……」



なんかよく分からないけど目の前で悶絶している重岡さんを可愛いと思った。

目の前で青ざめながらもしっかり五個食べる重岡さんを可愛いと思った。







重岡さんと過ごす時間がとても楽しいと思った。









重岡さんの反応がおかしくて私は久しぶりにお腹を抱えて笑った気がした。









.



休日。



今日は家庭教師がない日。

そんな日にも関わらず私は人が少ない文房具屋さんにいた。









『とりあえずシャーペン五つと消しゴムは使いやすい無知のやつと……』


『わああ！可愛いペンがある……ってあかんあかん！今日は勉強道具を買いにきたんやから！』



絶対絶対買わないと決めていたはずの文房具。

これから必要になるだろうからとわざわざ買いにきたのだ。








私が新しい文房具いっぱい買ったって知ったら重岡さんびっくりするやろうなぁ。









少し頬を緩ませながら残り少ないお小遣いで文房具を購入した。

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