羽ばたけWEST ≪ 1000人企画 ≫

◎ ありがとうの気持ちを込めて ページ49

ぴこんっと音を立ててスマホが鳴り響く。

慌ててスマホを確認すればのんちゃんから"今から行く"とメールが届いていた。









『……どきどきする』



ずっとずっと会いたくてうずうずしていた毎日。

電話で声を聞くたびに会いたいってそう願った夜。



でもやっと今日会えるんだ。









予定より早く駅のホームについてしまった。

五年も会えていないんだからきっと驚くほど豹変しているんだろうな。






夢を叶えるために東京へ引っ越していったのんちゃん。

高校一年生のときからずっと友達だったのんちゃんを思い続けて。



高校の卒業式勇気を出して告白をすれば"俺もずっと好きやった"なんて。

その言葉を聞いたときもっと早く告白しておけば良かったと少しだけ後悔した。









『あと一時間もある』



時計を確認して約束の一時間早く来てしまったことに気づいて。

慌てて立ち上がれば、ぷるるるっと大きくスマホの着信音が鳴り響いた。









『もしもし？のんちゃん？』


「ごめん、新幹線の中やねんけど」



『えへへ、電話くれてありがとう』


「可愛い、今にやけたやろ」



のんちゃんからの電話に嬉しくなって思わず笑みを零せばなぜかばれていて。

びっくりしている私にのんちゃんは"声だけで分かるわ"と言っていた。









「可愛いやろうなぁ、髪も伸びててふわふわのワンピースとか着ててさ」



『え！私今ワンピース着てる！！』


「ふふ、もしかして当ててもうた？」



あれから何となく少しだけ髪を伸ばして。

今日はのんちゃんに会えるからと気合いを入れてワンピースを着ていた。



すごい、全部当たってる。









「可愛い、今一瞬飛び跳ねたやろ」


『え？何で分かったん？』



「ふふ、キョロキョロしてる」


『え？え？』



嬉しくなって少し飛び跳ねればすぐに返事が返ってきて。

それに何だか声が近くなってきたような…不思議に思って辺りを見回した。







"そっちちゃう、こっちこっち"と言うのんちゃんの声に慌てて振り返れば

目の前にはあれから背も高くなってかっこよくなってキラキラしているのんちゃんがいた。









『のんちゃん！！！！』


「ただいま、A」



『ずっと見てたんやろ！ほんま意地悪！』


「ふふ、可愛い」








ぎゅーっと思い切り彼に抱きつけば次は甘い甘いキスが降ってきて。









心の中で"ずっと彼と笑い合えますように"と願った。

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