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放課後。
委員会の予定がある教室に入れば、もうすでに来ていた小瀧くんと目が合って。
そんな小瀧くんは私を見るなり嬉しそうにぶんぶん手を振っていた。
『あれ…二人だけ?』
「聞いてないんですか?今日は書記担当だけっすよ?」
そう言った小瀧くんは先生に頼まれたらしい雑用を見せてきて。
結局書記担当も雑用か…と思わずため息が零れた。
適当に筆箱の中からペンと消しゴムを取り出して雑用の紙に書き込んでいく。
そんなときも小瀧くんはつまらなさそうにくるくるとペン回しをしていた。
「A先輩ってめっちゃ字綺麗なんすね」
『まぁ、見るより書く派かな』
突然そう言われたもんだからつい嬉しくなってそう言えば小瀧くんはお腹を抱えて笑っていて。
"見るより書くって何なんすか、それ"と楽しそうに笑っていた。
『え、私なんか変なこと言った?』
「言いましたよ、字は見るより書く派って」
"先輩って面白いんですね"そう言ってまた楽しそうにけらけら笑う小瀧くん。
その笑顔があまりにも眩しくて不覚にもきゅんっとしてしまった。
.
しばらく作業を進めていると段々と暑くなってきて。
いつもは下ろしている髪をポニーテールに束ねようとした。
「っ……」
ポニーテールを作ろうとしているとあまりに小瀧くんにじーっと見つめられるから。
愛おしそうな目でこちらを見つめてくる小瀧くんに少し緊張してしまった。
「先輩ってちゃんと女らしいところあるんですね」
『え?それ褒めてるん?』
「髪結んでるところ初めて見ました」
『暑かったから……』
褒めているのかよく分からなくて曖昧になってしまう。
そんな小瀧くんの頬は少し赤く染まっていた。
「久しぶりにどきどきしてます、俺」
そう言って真っすぐな目で見つめてくる小瀧くんにどうしていいか分からなくて。
ただ私の心臓の音だけが響いていた。
「あ!望!こんなとこにいた!!」
すると突然教室を覗かせる女の子。
この間とは違う女の子で相変わらずの小瀧くんにため息が零れた。
『もうほとんど終わったし行ってあげたら?』
「すみません、ほんまに」
目の前に小瀧くんにそう言うと小瀧くんはどこか申し訳なさそうに立ち上がって。
そのまま教室を出て行ってしまった。
一人取り残された教室には静かな空気だけが残っていた。
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りってぃ(プロフ) - 芽未さん» 喜んでいただけて嬉しいです(;_:)私も書いていて嫉妬深い重岡くんいいなぁ…としみじみ感じておりました!読み返してくれるなんて嬉しいです…、これからもよろしくお願いいたします! (2019年7月9日 18時) (レス) id: 7cdc997d36 (このIDを非表示/違反報告)
芽未(プロフ) - りってぃさん» もう、最高すぎます!!ニヤニヤが止まらないです笑(*¨*) こんなに早く書いて下さってありがとうございます!いっぱい読み返します<3 (2019年7月8日 20時) (レス) id: fdd00ca03b (このIDを非表示/違反報告)
りってぃ(プロフ) - いとさん» わわわ…! ご希望に応えられて本当に良かったです!最後はドSな神山くんになってしまいましたが120点なんて本当に嬉しいです(;_:)また機会があれば遠慮なくじゃんじゃんリクエストしてください…! ありがとうございます…! (2019年7月8日 20時) (レス) id: 7cdc997d36 (このIDを非表示/違反報告)
りってぃ(プロフ) - 芽未さん» コメントありがとうございます(;_:)にやにやしながら読んでいただいて本当に嬉しいです…!リクエストもありがとうございます!上手く書けるか分かりませんが、頑張って書いたのでぜひ読んでください…! 素敵なリクエストありがとうございました(..)* (2019年7月8日 20時) (レス) id: 7cdc997d36 (このIDを非表示/違反報告)
いと(プロフ) - ふわっとしたリクエストだったのに120点のお話でとってもとっても楽しく読ませていただきました!!(点数をつけるのもおこがましいですが)本当にありがとうございます!リピ読み確定です!!またリクエストさせてください。 (2019年7月8日 0時) (レス) id: 90021e138b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りってぃ | 作成日時:2018年12月5日 18時