レンチン飯でも別に良いけど ページ8
「大将、やってるぅ?」
「ホンマに来たんか」
「行くって言ったやん」
「あ、俺も居ますよ」
「ははあ、須貝の兄さんと川上君だなんて、関西メンバーが集まりましたなぁ。京大面子は?」
「高松誘ったけど用あるから来れんって。他は会ってないから知らん」
「俺と須貝さんもついさっき行こうって決めて来たんで」
「そんなら腕によりかけんといけんなぁ」
「楽しみにしてるぞぉー」
「声でか」
先輩の店に来た。農学部の新堂さんとキャンパスで合うことはまぁ有るけど、須貝さんはそうでも無いようで新堂さんの店に来たことも無いらしい。かくいう俺も4.5回くらいしか来てないけれど。来てるほうか?
教授の用で三限が休講になった俺が食堂に行くと須貝さんにかち合った。どうせこの後用事は無いし、とダメ元で外に食いに行きましょう、って提案したら須貝さんも用は無いらしく、二人で即座に街に繰り出した。どうせなら普段食べないところ行きたいし、と思って新堂さんの店を提案したら須貝さんも行ってみたかったらしく、文句無しの決定。大学から少し離れた店に着いた頃にはちょうど昼時になっていて、客が並んでいるのが見えた。
並んでいるのが視聴者さんかもしれないと気づいて、バレないようにビクビクしていたけれど杞憂だったらしい。一度も声をかけられることなく店に入ることが出来た。入った瞬間見覚えのある顔の店主が出迎えてくれる。
「新堂、大学は?」
「木曜は一コマも入ってないんで。あ、席階段の奥で」
「へぇ、個室?」
「伊沢君達が来ることもあるんで、まぁ観客避けに」
「うわぁすげぇ。高級店みたい、政治家来そう」
「ハハハ。注文は?」
「迷うなぁ。川上君どないする?」
「あ、おまかせで」
「おまかせあるん?なら俺も」
「原材料出しますよ」
「ぎえっ、それだけは堪忍」
カウンターやテーブル席を通り抜け、二階へと続く階段の裏手にまわると入口からは見えないような個室があった。6畳程の小さな和室にあがる。隣にも部屋があるのだろうか、壁の代わりに障子で仕切られていた。なんだろう、小料理店とでもいうのだろうか、接待で使うような店の雰囲気だった。
「前回どの席だった?」
「この前はカウンターでした」
「楽しそ」
「調理の手元とか見れたし、ご飯の説明とかしてくれます」
「なにそれ、羨ましいわ」
「クイズも出してくれました。おにぎりのおむすびの違いとか、テクス・メクス料理はどこの国とか」
「エリスメンテン?」
「ちゃいます」
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マサ(プロフ) - また、近頃あまり見なくなった、インターネットを通して読む文章だからこそのギミックも感激致しました。素敵な作品をありがとうございました。長文駄文失礼致しました。 (2021年11月14日 21時) (レス) id: 3122429ec9 (このIDを非表示/違反報告)
マサ(プロフ) - はじめまして。この作品を見つけて一気に読ませていただきました。全体的に文章自体が読みやすく、私は料理に詳しくないのですがそれでも分かりやすく書かれており、ストーリーも大変面白かったです。 (2021年11月14日 21時) (レス) @page29 id: 3122429ec9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:狭 | 作成日時:2021年6月5日 0時