トップアイドル2

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犯人と対面しようと思ったのは何故か。カウンセリングの先生にも荒治療過ぎると再三辞めるように言われたけど、トラウマの克服ってようは薬なんかじゃ根本的解決には至らなくて、私自身が思考を変えないと意味が無いんだって分かったから。だったら、犯人の思考が分かればいいんじゃない？って思った。それに何より、メンバーから誇られるマンネで居たいから。ヒョンジナの憧れのヌナで居たいから。大好きなペンの皆に早く会いたいから。だから、荒治療と言われようと、私には焦る理由があった。だけど、自暴自棄になったんじゃない。人は理解出来ないものが怖い生き物だから。



「こんにちは」



がちゃりと扉が開き、目の前に犯人が座る。表情の抜け落ちた顔で、しかしながら穏やかな声で挨拶された途端、心臓が頻回に脈を打ち、背中にひやりとした汗が流れた。拘留所内は適温に保たれているはずなのに、鳥肌が立つ。無意識に震える手を押さえつけるように反対の手で握れば、犯人はそれを色のない瞳に写した。



「僕が怖いですか？」



本当に、他人事のような、そんな温度のない声だった。ただ無感情に聞かれて、ぴしりと固まる。なにか答えようとするが、唇が震えて駄目だった。



「まあ、仕方ないですよね。2回も刺し殺そうとしたんですから」



そう言うと、初めてへらり、と緩みきった表情で笑顔を浮かべた。邪気のない表情に戸惑いを隠せない。
どうにか張り付く喉から掠れた声で「どうして…？」とだけ聞けば、犯人はなんて事ない表情で1つ頷いた。



「僕は君の特別だと思っていました。だって、ファンミーティングの時に早く結婚したいって言ったら、じゃあ皆に自慢出来るようにならないとって言ってたじゃないですか。だから、僕は結婚すると信じていました。なのに、ぽっと出の俳優と密会デートか、なんて、裏切られたと思った。僕のものにならないなら殺すしかないと思った」



犯人の話は終始意味が分からなかった。
自分は私に人生を捧げるつもりでいたのに、そんな浮気をされるなんて思ってもみなかっただとか、そんな身勝手な話しが延々と続く。何て勝手な人なんだろうと思ってしまった。私の意思なんてそっちのけで、自分の都合のいいように解釈して。だけど、カウンセリングの先生が言っていた言葉を思い出して勝手に話し出す過去の話も照らし合わせてみると、目の前の男が哀れで仕方ない。

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