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急いで向かってよく確認もせずに練習室の扉を開ければ、ヌナもちょうど扉を開けようとしたところだったのか、至近距離で視線が交わった。韓国のアイドルは結構高身長が高いから、目線をかなり下げないといけないヌナとこうして至近距離で視線が交わり合うくらい前のめりに扉を開けた事実に遅れて気が付いて、それだけ必死だった事に自分でも驚いた。ヌナはもっとびっくりしていて、黒目がちな目を更に丸くしている。



「び、っくりしたぁ…。ヌナに急ぎの用だった?」



胸を片手で押さえて、そう尋ねてくるヌナは不意に俺の髪をさらりと撫で付けた。多分走ってきたから、髪がハネていたんだと思う。そのまま何も言わずにいれば、ヌナの細い指が髪を梳かしていく。そうして何度か往復すると、満足いったのかヌナの瞳が柔らかく弧を描いた。その表情を見て、ようやく肩から余分な力が抜けていくのを感じた。
目の前のヌナを部屋の真ん中に移動させるようにしながら腕の中へと閉じ込める。「わ…っ、」と小さく声を漏らしてふらつくヌナの腰を左腕で支えるようにして抱き込めば、困惑しつつもヌナが控えめに腕を回してくる。



「ヒョンジナ?どうかした?」



「ヌナが可愛すぎて困ってます」



「んん?」



「だから、ヌナが可愛すぎて困るんです。ヌナがどんな容姿でも俺は好きだから、だからもう少し個性的になってもいいんですよ。むしろそうなってください」



「全然話の筋が読めないんだけど??」



ヌナの細くて華奢な肩口にぐりぐりと額を擦り付けてそんな我儘を言っていれば、話しが読めないなりに何かを察したヌナがさらりさらりと髪を梳かすようにして頭を撫でてくる。それが子ども扱いに感じて、いつもだったらそれも特別になれたようで嬉しいけど、でも今は複雑な気分だった。
リノヒョンにはそんなことする?もしこうやって抱きついてきたのがリノヒョンだったらヌナはどんな反応をするだろう。2人が話しているのも数える程しか見たことがないから、想像すら出来ないけど。だけど、何だかんだ不器用だけど男らしくて頼もしいところもあるあのヒョンなら、ヌナのことをもっと意識させられるのかも。そう考えたら心のモヤはいつまで経っても晴れそうになかった。

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elmo(プロフ) - いつでも待ってます😊 (5月23日 16時) (レス) id: fe6e18ad7e (このIDを非表示/違反報告)
elmo(プロフ) - 更新がゆっくりでも、その間何度も読み返して更新される準備をしているので全然気になさらないでください!それくらい軽い素敵なお話じゃなくて、優しくてあたたかい丁寧な言葉でわかりやすくて言い表せないくらい感情が汲み取れて素敵な暖かく優しい重さのお話と思っ (2023年5月7日 0時) (レス) @page27 id: fe6e18ad7e (このIDを非表示/違反報告)
しろもち(プロフ) - elmoさん» 更新度々遅くなってすみません…。いつもコメントありがとうございます、とても励みになっております。 (2023年5月6日 21時) (レス) id: 0f5a8f8e99 (このIDを非表示/違反報告)
elmo(プロフ) - 更新ありがとうございます!いつも更新されてるかチェックして更新されてたら喜んで読んでテンションあげていただいてます! (2023年5月1日 22時) (レス) @page26 id: fe6e18ad7e (このIDを非表示/違反報告)
しろもち(プロフ) - elmoさん» 言葉に関しては気をつけて書いているのでそう言っていただけて嬉しいです。日本ならではのたくさんある一人称にもこだわりがあるので、ぜひ想像を膨らませながら読んでくださると幸いです。 (2023年3月15日 22時) (レス) id: 0f5a8f8e99 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しろもち | 作成日時:2023年2月13日 22時

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