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顔合わせが済み、バトンパス練習も滞りなく進んだ。
A本人から体育は全般得意だと聞いていたが、思っていたよりもずっと速い走りだった。
いつもは下ろされている髪が高い位置でポニーテールにされて、走る時には項が見えてドキドキする。
JH「……はぁー、かわいい…」
久々に間近で見るAはやっぱり可愛い。
珍しく100mの部分を走る女子と真剣に何か話しているが、真剣な顔だって見慣れているはずなのに可愛いという感想しか生まれてこないのだから、俺はこのままAを諦めるという選択が出来るのだろうかと少し不安になる。
バトンをAから受け渡された時だって、久々に名前を呼んでもらえただけで嬉しかった。
「ジョンハンくん、ジョンハンくんってば!」
JH「え、あ、どうした?」
Aのことばかり考えていれば、どうやらその考えていた本人に呼ばれていたらしい。
慌てて返事すれば、Aが少しだけ眉をひそめている。
「さっきのバトンパスなんだけど、上から渡すより下からジョンハンくんの手に渡していい?それで、さっきよりも5mくらい早くからスタートダッシュして。絶対追いついて渡すから私のことは気にしないで」
さっきも結構早めに出たつもりだったが、Aの言う通りもう少し早く出ても問題なさそうだったので頷く。
「あとね、体育祭が終わって少ししたら私の冬のコンクールがあるんだけど、それが終わったら話出来ないかな?」
JH「俺は大丈夫だけど」
「良かった。とりあえずは体育祭頑張ろうね」
ホッとしたように息を吐き出し、今まで見たどれよりも目を和らげて言うものだから思わず俺は息を飲んだ。
それだけを告げてまた持ち場へと戻ろうとするAの腕を咄嗟に掴む。
しかし、なんて言っていいのかが出てこず、ごめん、と一言零して手を離した。
もし拒否されたらって思うとどうしても一歩が踏み出せない。
Aは、じゃあまた練習で、と言い教室へと帰って行ったが、その時どんな顔をしていたのかなんて俺には見る余裕なんて無かった。
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moco(プロフ) - はじめまして。引き込まれて夜中まで一気に読んでました^^;素敵なお話ありがとうございました♪続編もお待ちしています(*^^*) (2021年11月4日 19時) (レス) @page50 id: b8fe820ef0 (このIDを非表示/違反報告)
しろもち(プロフ) - そのさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいです😭貴重なお時間を割いて感想を書いてくださり本当にありがとうございます! (2021年10月19日 13時) (レス) id: 726cd132f0 (このIDを非表示/違反報告)
その(プロフ) - はじめまして。この作品を読んでとてもあたたかい気持ちになりました。私はジョンハンペンなのですが、切なく儚く恋しい青春の1ページを切り取ったようなこんな素敵な作品に出会えて、大好きなお話がまた一つ増えました。また他のお話も楽しみにしています☺︎ (2021年10月19日 10時) (レス) @page50 id: c07bdef56b (このIDを非表示/違反報告)
しろもち(プロフ) - つな缶の神様さん» 久々に小説を書き、めちゃくちゃドキドキしながら投稿したので、そう言っていただけて嬉しいです!こちらこそ貴重なお時間を使って読んでコメントまで残してくださってありがとうございます! (2021年10月14日 18時) (レス) id: 726cd132f0 (このIDを非表示/違反報告)
つな缶の神様 - とても続きが気になります!素敵な小説を書いてくださって、ありがとうございます! (2021年10月14日 18時) (レス) @page8 id: cd2586cfeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しろもち | 作成日時:2021年10月14日 9時