僕だけのヒロイン【JH】

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Aと話さなくなって1ヶ月、女々しくも毎日あの日から止まったままのカトクのトーク画面を見返す日々を過ごしていた。


俺はというと、この1ヶ月でまた女子生徒達から告白されることも追い回されることも以前に逆戻りだ。


どうやらAと一緒にいないことがどこかから漏れたらしく、周囲では俺とAは付き合っていて別れたということになっているらしい。


現実はそれよりも何も進展がないんだから悲しくなってくるが。


彼女と話さなくなったばかりの頃はまだまだ暑かったというのに、今ではすっかり涼しい日だって増えてきて、学内では体育祭の準備に追われていた。


女子生徒1｢ジョンハン君は種目何出るの？｣


女子生徒2｢今年もリレー出るでしょ？｣


教室では席の周りを囲まれ、廊下に出れば他のクラスの生徒にも囲まれて移動もままならない。


好意自体は有難く嬉しいが、ここまで何をするのにも自由がないと息が詰まる。


本当は大体出ようと思っている競技も決まっていたけれど、お茶を濁していた。


SC｢大丈夫か？｣


JH｢大丈夫じゃない……｣


Aに会わなければこの気持ちも小さくなるだろうと思っていたのに、予想に反して全然小さくなってはくれない。


いっそこの気持ちを捨てられないのであれば、心の内の奥の奥へと鍵を頑丈にかけて閉じ込めてしまおうか。


そうすれば、こうしてAに会えない期間も平気になるのかもしれない。


……いや、平気は言い過ぎた、今でさえこんなに寂しいのだから例え友達という関係性に落ち着いたとしても寂しいことには変わりないだろう。


昼食の購買で購入したパンをもそもそと食べながら悶々と考える。


ふと廊下なんかでAとすれ違えば思わず約束を反故にして話しかけてしまいそうだったから、安易に廊下すらも歩けない。


そのせいで余計女子生徒に囲まれることが増えたから、俺の心は徐々に疲弊していた。


SC｢お、ジス今までどこ行ってたんだよ｣


JS｢うん、ちょっとね。それよりハニ、Aちゃんは体育祭はスウェーデンリレーの300mと部活対抗リレーに出るって｣


その情報にパッと顔を上げれば、ジスは笑って隣の教室の黒板を見たから確かだよと付け加えた。


Aちゃん、意外にも走るの速いんだねというジス。


本当に意外なことにAは美術は言わずもがな、体育もかなり得意で、逆に勉強はそこまででもない。

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