29(you side) ページ29
ジスくんに聞かれ改めて思い返して、やはりジョンハンくんのことは初対面の頃から特別だったと思う。
初めは特に何の意識もしていなかったし、学園の天使だなんて大層なあだ名通り綺麗なルックスね、くらいに思っていた。
だから、周囲の女の子達が彼をアイドルの追っかけのごとく追い回して囲んでいても何の違和感もなかったし、輪の中心にいる彼の表情に注視したことなんて一度もない。
だって、私の中で彼は天使というあだ名のついた綺麗な男の子で、それ以上でもそれ以下でもない存在だったからだ。
関わることなんて一生ないんだろうと思いながら過ごしていたから、あの日美術準備室へやってきたジョンハンくんを見た時は驚いた。
美術室に置いていた画材を取りに戻っている合間にいたもんだから、綺麗なふわふわの金髪を見て思わず、｢誰…？｣だなんて間抜けな質問をしてしまった。
いかにジョンハンくんに興味がなかったのかが浮き彫りになった質問だったと思う。
だけど、ジョンハンくんは特に質問に気分を害した様子はなく、それどころか何も感想は言わなかったけれど、私の作品を見て目を輝かせて食い入るように魅入る視線が意外で、それが私の気分を高揚させた。
どんな感想を貰うよりも、その視線が嬉しかった。
だから、何も言わずに居座った時も出ていってほしいなんて思わなかったし、むしろ想像していたよりもずっと静かに私の手元を見ているものだからその内彼が居たことすら忘れていたほどだ。
それ程までに彼は最初から私の中へと溶け込んできた。
でも、それも1回限りなんだろうという私の予想を打ち砕いて彼は何度も足繁く通ってくれて、次第に私も彼がいる空間が当たり前になってきて、そして、段々と彼に関心を寄せていくのは自然の流れのように思う。
彼からカトクを交換しようと言われたことも、帰りに送ってくれる優しさも全てがただ単純に嬉しくて。
突然ダンス部の大会に呼ばれた時には何となく彼からの想いの変化に気付いていたけど、私も彼のことを知りたいと思っていたから気が付かないフリをして大会を見に行った。
文化祭だってジスくんたちがお膳立てしていたのも何となく分かっていた。
私には日本に彼氏がいたから彼に期待を持たせるような行動を取ることは酷いことだと理解していても、あの天使のような彼の意地悪なところも、それでいて内に入れた者にはとんでもなく優しいところも、もう私は手放せなかった。
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moco(プロフ) - はじめまして。引き込まれて夜中まで一気に読んでました^^;素敵なお話ありがとうございました♪続編もお待ちしています(*^^*) (2021年11月4日 19時) (
レス) @page50 id: b8fe820ef0 (このIDを非表示/違反報告)
しろもち(プロフ) - そのさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけてとても嬉しいです😭貴重なお時間を割いて感想を書いてくださり本当にありがとうございます！ (2021年10月19日 13時) (レス) id: 726cd132f0 (このIDを非表示/違反報告)
その(プロフ) - はじめまして。この作品を読んでとてもあたたかい気持ちになりました。私はジョンハンペンなのですが、切なく儚く恋しい青春の1ページを切り取ったようなこんな素敵な作品に出会えて、大好きなお話がまた一つ増えました。また他のお話も楽しみにしています☺︎ (2021年10月19日 10時) (レス) @page50 id: c07bdef56b (このIDを非表示/違反報告)
しろもち(プロフ) - つな缶の神様さん» 久々に小説を書き、めちゃくちゃドキドキしながら投稿したので、そう言っていただけて嬉しいです！こちらこそ貴重なお時間を使って読んでコメントまで残してくださってありがとうございます！ (2021年10月14日 18時) (レス) id: 726cd132f0 (このIDを非表示/違反報告)
つな缶の神様 - とても続きが気になります！素敵な小説を書いてくださって、ありがとうございます！ (2021年10月14日 18時) (レス) @page8 id: cd2586cfeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しろもち | 作成日時：2021年10月14日 9時
